書き出し
この小冊子はいかにして融和を促進すべきかということを主として説述したもので、いわゆる特殊部落民なるものは、決して普通部落民と筋の違ったものではなく、ただ昔の落伍者のある者が、その択んだ職業によって、当時の社会の迷信と、階級的意識の犠牲となったにほかならぬということを述べたに止どまり、私の特に宣伝したいと思うところの、歴史的の説明にはあまり多く及ぶことができませんでした。
初出
1926年
(「融和資料第一輯」中央融和事業協会、1926(大正15)年1月号)
底本
「差別の根源を考える」河出書房新社, 2008(平成20)年9月30日