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児童書版

鬼無菊

北村四海
『鬼無菊』は青空文庫で公開されている北村四海の短編作品。498文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内   498 文字
人気
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書き出し
信州の戸隠山麓なる鬼無村という僻村は、避暑地として中々佳い土地である、自分は数年前の夏のこと脚気の為め、保養がてらに、数週間、此地に逗留していた事があった。
初出
底本
「文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会」ちくま文庫、筑摩書房, 2007(平成19)年7月10日
表記
新字新仮名
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鬼無菊
北村四海
信州の戸隠山麓なる鬼無村という僻村は、避暑地として中々佳い土地である、自分は数年前の夏のこと脚気の為め、保養がてらに、数週間、此地に逗留していた事があった。
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頭上の響
北村四海
「君、如何だ、近頃は不思議が無いか」私の友人は、よく私にこういうて笑うが、私には如何してもそれが冗談として打消されない、矢張何か一種の神秘作用としか思われないのである、如何いうものか吉兆の方は無い――尤(もっと)も私の今日までの境遇上からでもあろうが――が奇妙に凶事に関しては、事件の大小を論せず、必ず自分には前報がある、遅いのは三四日前、早いのは一年も二年も以前にちゃんと解る、如何して知れるというと、即ち自分の頭の真上で何か響があるのだ、それにまた奇妙なのは、事件が大きければ大き...
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千ヶ寺詣
北村四海
現今私の家に居る門弟の実見談だが、所は越後国西頸城郡市振村というところ、その男がまだ十二三の頃だそうだ、自分の家の直き近所に、勘太郎という樵夫の老爺が住んでいたが、倅(せがれ)は漁夫で、十七ばかりになる娘との親子三人暮であった、ところがこの家というのは、世にも哀れむべき、癩病の血統なので、娘は既に年頃になっても、何処からも貰手がない、娘もそれを覚ったが、偶然、或(ある)時父兄の前に言出でて、自分は一代法華をして、諸国を経廻ろうと思うから、何卒家を出してくれと決心の色を現したので、父も兄も...
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闥の響
北村四海
私が巴里に居た時、一時、リャンコルン街の五十番に家を借りていた事がある、この家屋は四階建で、私の居たのもこの四階の上であった、すると隣家に十二ばかりの女の子を上に八歳ばかりと五歳ばかりの男の子が居た。
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