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児童書版

ある時

今野大力
『ある時』は青空文庫で公開されている今野大力の短編作品。239文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内   239 文字
人気
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書き出し
「未曾有のキキン」「大水害」「餓死の年」遠いほんとうに遠い父と息子の住んで居る土地は時代をとりちがえて生きて居るようにほんとうに遠い手紙の封筒はほご紙を飯粒のりでこさえておくる切手はどこかのすみからさがして来たようにすすけてしわくちゃだ父と息子のたよりは三銭の切手もめったに送らない父は「死んでしまおうか」と訴えてくる白髪のお母よ丈夫で居てくれ小さい弟妹よ、丈夫に育ってくれ。
初出
底本
「今野大力作品集」新日本出版社, 1995(平成7)年6月30日
表記
新字新仮名
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今野大力
少女子を孕(はら)めるという太りたる腹はみにくくかわいらし少女子を孕めるという十月なる日を算えては頬笑める孕めるは何の摂理ぞ夜深く何を悩める人の世に明日あり今日ありさて遠く夢想の国に青き花咲くとも聞けり孕めるは何の摂理ぞ少女子を孕めるという。
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