書き出し
―――同志よ固く結べ生死を共にせん―――いかなる迫害にもあくまで屈せずに―――われら若き兵士プロレタリアのそれは牢獄の散歩の時間だった独房の前で彼のトランクを小脇に抱えているむかしの友同志下司と彼の口笛に七年ぶりで出あったのは!彼は勇敢な、おとなしい、口笛の上手な少年だっただが夏の朝の澄明さに似たあわたゞしい生活が流れてから境遇と政治の過流が私たちを異った都市と都市との地下に埋めたそして今日――...
底本
「槇村浩詩集」平和資料館・草の家、飛鳥出版室, 2003(平成15)年3月15日