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末吉安持の全作品

青空文庫で公開されている末吉安持の全作品23篇を、おすすめ人気順で表示しています。

1〜23件 / 全23件
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直らぬ病、身は痩せぬ。
こは悪夢、あゝ神よ、夢はふたたび見せざれな、われには斯かる嫉み無し。
思はずも筆はしり忽ちに画は成りぬ。
君うつくしく幸ありと、おもへば魂はくづるゝに、なまじい罪は負ひつゝも、君は死にきと眼を閉ぢて、痩せたる胸を撫づるなり。
黒檀のみどり葉末に、そよ風ながう滑りて、自然の魂塊藍に薫りとぶ真夏の昼。
五里の青野に行き暮れて、山下街の片門に、いかで一夜の宿乞ふと都のなまり、――うらわかき学生づれの七人は手にこそしたれ、百合の花。
なが月下浣の日のゆふべ、山下岩根垂る水の玉のしづくに核ぐみて、かつ熟みこぼし斎ひつゝ、風に額づく茴香のあゝ姉妹の二人もとよ。
神無月、日は淡々と夕ぐれの雲ににほへば、眼路ひくき彼方に薄れあはれなる遠樹ぞ見ゆる。
真夏の午の片日向、苔すこし泥ばみ青む捨石に、鳩酢草は呼吸細う雫(しずく)に湿ひ実を持ちぬ、かつ喘息ぎつゝ。
夜はくだつ十一時、霜さむく、圧しくる闇の気の凍に、舞ひ疲れては黄塵もしくしくと泣き湿り、侘寝すらし。
凶会日は凶会日と見て病めるもの衰へしもの、床の上にすなほに僵(たふ)れ、瓶の身は砕けてちりて、滅亡に入らむ。
仰げばみ空青く澄み、金星遙に霑ひて、神秘の御幕長く垂れ、闇の香襲々屋根に戸に、夕となりぬ月出ぬ。
あゝ終の夕は来りぬ、天昏に地昏にさはなる不浄はもこゝに亡ぶか、洗礼女――河原の葦(あし)に法涙の露無量光、新らしき生命の慈相――十夜法会の跡さびしき、天台の寺院の堂に、いからしく波うつ霧や、仏龕の虫ばむ音は、悲しとも、これも自然が法の座へ辿る足音ぞ、きけ葦(あし)のさなす小琴に、霊のうた『血汐は白し血は白し、こや敬虔の古瓶の封を破らず時をまち考え伏して...
たとふれば戦ひ果てぬ、日は暮れて二時を経ぬなまぐさき荒野の中に双の眼を弾丸に射られてなほ黒き呻吟をしのび、よこたはる負傷の兵の勇しきわかき心に、秘めつゝむ苦痛遂に鈍色の寂寞の気を吸ふがごと嗚呼われこゝに。
父ぎみはしはぶき二つ、母ぎみはそよ一雫(しづく)、瀬戸の海、東をさしし三日まへに我を見ましぬ。
気も遠く世も消え/\や丑三つの森の奥の白檀ほのにくゆり木薩地しづき頃ほひ。
闇の幕危く垂れて二十八宿星座揺ぎ滅亡の香凄う乱るゝ古寺の屋根に嬉(うれ)しや白鵠の夢は醒めたり、あな嬉し霊の御告、白鵠は夢より醒めぬ頼しく威ある瞳に喙(くちばし)の結びたゞしくみがまへて睨(にら)むか闇を、平和の気温く密なる巣の真隅、※を吐いて金鱗の閃(ひらめ)き寒う蜿(うね)りたる地獄の私生児うとましの怪物、鎌首巣の雛(ひな)の機を窺(うかが)ひて倚...
友よ恨まじ今日よりはねたまじ、君は濃藍の底見えわかぬわたづみの珊瑚(さんご)の宮に恋を得て幸くあり、とに思ひ止まむ。
君が家はそもいづこか。
――汽車の窓にて夏の日の午さがり、我が汽車は物憂げに黒き煙を息吹きつゝ、炎天の東海道を西へ馳す。
瞬時の夢の装飾も、しかすがに彩映ゆれば、紫の絹の帳、永遠の生命ありと、平和を守りいつきて、心ある春の雨は、軟らに音なく濺(そゝ)いで、しのびに葉末を流れぬるか。
春の弥生の夜は仄(ほの)に天地ひくゝ垂れあひて、情のにほひいちめんにおぼろおぼろの花ぐもり、精舎の壁の地獄絵も温き霞(かすみ)を纏(まと)ふらむ。
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