書き出し
耳の奥底に唐人笛飴屋の幼い想出連隊の奴隷達は夢の中で枕を外した激しい夜風とあれ狂う喇叭(らっぱ)の号音――非常呼集だ丘の黒い建物は真夜中に眼ざめた丘の兵隊屋敷は点々と燈火を燦(ちりば)めてゆく不寝番は雀躍してバタバタ駆けまわった息をきらしても叩き起すのは愉快だ態あみろ起きろ!起きろさ起きるよ……うるせい!週番司令あ誰奴だ?俺あ不服だぞお……周章てて起きた初年兵の寝...
初出
1932年
(「プロレタリア文学」1932(昭和7)年4月作品増刊号)
底本
「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社, 1987(昭和62)年5月25日