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5分以内で読める陀田勘助の短編作品

青空文庫で公開されている陀田勘助の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編8作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(〜2,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
1〜8件 / 全8件
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春の訪れをまっ先に知らせてくれた黄色に輝くたんぽぽの花よ、いま恍惚と夢見るようにまっしろな球形の頭を微風になびかして音もなくふっわりと羽蟻のごとく飛びゆく数々の種子は青空の彼方へ飛び行く種子よ!周囲に呻吟するおれの希望を、思想を雁のごとく伝波せよそして来たるべき春に雨・風・嵐に打ち勝って工場の屋根に、野原に、ビルディングの窓に鮮やかな黄色な花を開け!(獄中から鶴巻盛一宛書簡一九三〇年五月...
おれは白蟻のように噛み切ることはできないおれは飛行機のように軽快に空を飛ぶことはできないだが脳髄の中の空間に飛行船を遊歩させることはできる現在の頁を空白に削りとられた者の前には明日の希望が堂々と逍遥し始めるのぞき窓からのぞき込む鋭い二つの目も希望の青空を漂泊するおれの飛行船をのぞき得ないし、捕らえ得ないし、投獄し得ない。
砂糖のような安逸がおれの感覚をにぶらしている鍋底で倦怠だ!憂鬱だ!と小声でつぶやいている若い熱情が下駄の歯のようにすりへりそうだ残火が火消壺で喘いでいる短気な意志が放心した心臓をつかんでいるそいつは滓(かす)だおれの食慾がめしを喰ってるおれの性慾が女を恋しようとしているオブロモフ!オブロモフ!オブロモフ!倦怠をつぶやきながらも安逸は砂糖のように甘い憂鬱の霧を逃れようともしないでおれはうずくまって...
牢獄の春はふたたびおれの上にやってきた!一年以前、この赤煉瓦の建物の中に投げ込まれたときにはあのトルコの王様の退屈を慰めたというアラビアンナイトの人喰鬼の宮殿のようにおれにはこの巨大な赤煉瓦の沈黙した建物は摩訶不思議なものであった。
子持ちとなった労働者のおッ母あよ!数万の大軍を率いてアルプスの険を突破した若いナポレオンには不可能がなかった。
独房の中にたった独りでいるおれは決して孤立したものでない全体の中の部分だ!おれはどこから生れてき、また何を背負っているか!両親のまた両親とおれの系統をたどってゆくとき、おれの前には数万人の祖先が立っている独房の中にいるたった独りのおれの身体は数万人の祖先の血と肉で組織されているのだそして、物質の組織――神経系統に花咲いた精神も、それゆえに数万人の――いやもっともっと多数の知識の集積と結論できよう!たったひとりのおれでさえ永いながいそし...
ノスケ万歳!プロレタリアは武装を解かれた――ゲオルグ・グロッス――むくれあがった傷口から白い蛆虫は這い出した蠅は飛び出した小腸を喰べている風が吹く転がっている銃殺死体!ほんとうに射撃された心臓は歪んでいた兵隊の靴の音は飢えた群衆の中からピストル!奴らの銃剣は!切断された太陽の注ぐ光の下にひかりおれらの脳髄を心臓を指さしている掘立小屋から瘠せ細った手...
食慾が針のように空らっぽの胃を刺激するかつての日の満腹は夢のようだ生きるために食うのか?食うために生きるのか?どちらでもいいここで議論は胃を満たさないおれたちは飢え渇えている凧!糸の切れた凧だ!生存が切断される同志よおれたちは要求する一握のめしを!麺麭を!おれたちは食物を乞うのでない生きてるゆえに飢え渇えている者の要求だおれたちは団結しよう!生存を脅かされている同志よ力...
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