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児童書版

断片

陀田勘助
『断片』は青空文庫で公開されている陀田勘助の短編作品。638文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内   638 文字
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書き出し
ノスケ万歳!プロレタリアは武装を解かれた――ゲオルグ・グロッス――むくれあがった傷口から白い蛆虫は這い出した蠅は飛び出した小腸を喰べている風が吹く転がっている銃殺死体!ほんとうに射撃された心臓は歪んでいた兵隊の靴の音は飢えた群衆の中からピストル!奴らの銃剣は!切断された太陽の注ぐ光の下にひかりおれらの脳髄を心臓を指さしている掘立小屋から瘠せ細った手...
初出
1924年   (「無産詩人」1924(大正13)年7月創刊号)
底本
「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社, 1987(昭和62)年5月25日
表記
新字新仮名
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。

陀田勘助 の人気作品

ある日
陀田勘助
砂糖のような安逸がおれの感覚をにぶらしている鍋底で倦怠だ!憂鬱だ!と小声でつぶやいている若い熱情が下駄の歯のようにすりへりそうだ残火が火消壺で喘いでいる短気な意志が放心した心臓をつかんでいるそいつは滓(かす)だおれの食慾がめしを喰ってるおれの性慾が女を恋しようとしているオブロモフ!オブロモフ!オブロモフ!倦怠をつぶやきながらも安逸は砂糖のように甘い憂鬱の霧を逃れようともしないでおれはうずくまって...
5分以内
おれの飛行船
陀田勘助
おれは白蟻のように噛み切ることはできないおれは飛行機のように軽快に空を飛ぶことはできないだが脳髄の中の空間に飛行船を遊歩させることはできる現在の頁を空白に削りとられた者の前には明日の希望が堂々と逍遥し始めるのぞき窓からのぞき込む鋭い二つの目も希望の青空を漂泊するおれの飛行船をのぞき得ないし、捕らえ得ないし、投獄し得ない。
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全体の一人
陀田勘助
独房の中にたった独りでいるおれは決して孤立したものでない全体の中の部分だ!おれはどこから生れてき、また何を背負っているか!両親のまた両親とおれの系統をたどってゆくとき、おれの前には数万人の祖先が立っている独房の中にいるたった独りのおれの身体は数万人の祖先の血と肉で組織されているのだそして、物質の組織――神経系統に花咲いた精神も、それゆえに数万人の――いやもっともっと多数の知識の集積と結論できよう!たったひとりのおれでさえ永いながいそし...
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たんぽぽとおれの感傷
陀田勘助
春の訪れをまっ先に知らせてくれた黄色に輝くたんぽぽの花よ、いま恍惚と夢見るようにまっしろな球形の頭を微風になびかして音もなくふっわりと羽蟻のごとく飛びゆく数々の種子は青空の彼方へ飛び行く種子よ!周囲に呻吟するおれの希望を、思想を雁のごとく伝波せよそして来たるべき春に雨・風・嵐に打ち勝って工場の屋根に、野原に、ビルディングの窓に鮮やかな黄色な花を開け!(獄中から鶴巻盛一宛書簡一九三〇年五月...
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