書き出し
壊滅した――と言うそうかも知れないと思う健在だ――と言うそうかも知れないと思う地下に追込められたものは益々深く地下に潜り込んだのだ俺達にはてんで見当がつかなくなったのだ2汽笛の白い蒸気が灰色の空にちぎれ飛んだ午前六時の川風が雪交りの雨を赤煉瓦に叩きつけ脂染みた硝子窓をゆすぶった肩をすぼめた俺達の行列が鉄門の外にまだ長くつづいていた3泥...
初出
1930年
(「戦旗」1930(昭和5)年6月号)
底本
「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」新日本出版社, 1987(昭和62)年6月30日