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ふしあわせ者のうた

中野鈴子
『ふしあわせ者のうた』は青空文庫で公開されている中野鈴子の短編作品。424文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内   424 文字
人気
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書き出し
人間には幸福と不幸があるそれは何処からきているかみなもと深く学者はしらべた人々は自分に照りあわせ実際的に納得したけれども目ざす彼岸は高くあまりに遠いふしあわせは片時もはなれずつきまとう人という人はことごとく本能感情意志を持つ不幸は四六時中五感をつっさすみんなは生きるふしあわせとの組み打ちふしあわせは一様でないその千差万別をうたいたいことに普遍...
初出
1936年   (「第三次早稲田大学新聞 第三十九号」早稲田大学新聞社、1936(昭和11)年5月27日)
底本
「中野鈴子全詩集」フェニックス出版, 1980(昭和55)年4月30日
表記
新字新仮名
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