書き出し
すそを吹き上げる北風は凍りおおいのない、野天の井戸洗い物をしぼる手はまっ赤お前は温順お前は過去の女ぱっと冷いしぶきがとびかかる私は空を仰いだくらくらと瞼をおおうおもい冬空生活はつづく新しいものと古いものがごっちゃになってどんでんがえり新しいモラルの前では或る女たちが特権を以て針を折りひしゃくを投げすて昨日のくびきをふりほどくそこには...
初出
1936年
(「詩人」1936(昭和11)年2月号)
底本
「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」新日本出版社, 1987(昭和62)年6月30日