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5分以内で読める森川義信の短編作品

青空文庫で公開されている森川義信の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編51作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(〜2,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
1〜50件 / 全51件
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眠れやはらかに青む化粧鏡のまへでもはやおまへのために鼓動する音はなくあの帽子の尖塔もしぼみ煌めく七色の床は消えた哀しく魂の溶けてゆくなかではとび歩く軽い足どりも不意に身をひるがへすこともあるまいにじんだ頬紅のほとりから血のいろが失せて疲れのやうに羞んだままおまへは何も語らないあるるかんよ空しい喝采を想ひださぬがいいいつまでも耳や肩にのこるものがあつただらうか眠るがいいや...
愁ひ来て丘にのぼりて酸の香る蜜柑もぐなり悲しみの青き蜜柑を栗林こえて見ゆるは背きにし君の町なるぞゆふぐれに深く沈みて掌にしみる青き蜜柑よそをかみて何を思はむ昔の日は皆空しきにああされど君も寂しとこの丘の青き蜜柑のその香りなぜか愛でたり自らの影をふみつつゆふぐれの丘を下りき掌に悲し青き蜜柑よ。
白亜の立体もひたむきな断面もせつない暗さの底へ沈みつつ沈みつつ翳に埋れ影に支へられその階段はどこへ果ててゐるのかはかなさに立ちあがりいくたび踏んでみたことだらう煙のある窓ちかく自ら扉はひらきそこに立ち去る気配もなかつた忘れられた木の椅子のほとりから哀れな水の匂ひがひろがり脱落するしやつのあとにはあやまちのごとく風が立つたあのふしあはせな鳶色の時間には美...
花の咲かない樹があつた樹の下には小鳥の死んでゐる鳥籠が鳥籠の揺れる窓はひらく日もなく硝子は曇つてゐた。
葉ざくらの蔭が青い硝子の花になりアメシストの鏡から水も流れてゐたな若い従妹たちの髪を歌のやうに洗つてゐたな。
意欲のやうに烈しく流れ何をまた恐るのだらう或る時は漂漂と過ぎるもの季節の上を季節のやうに※未完※。
鴉は――異教徒だ2誰だ――坂の上で笛を鳴らして逃げたのは母よ、もうラムプを消そう。
風だ恐りながら憎悪の波をわたるひとすじの突風だ翼や枝をたたき折りはるかな色彩をかき乱しあの断崖の一角からつき落された重量だ。
義足のごとくつつ立つものの向ふに新月はかへれない緑の時差を示し地軸は若い意志のなかで折られた38.12.10。
貝がらのなかに五月の陽がたまつてゐる砂の枕がくづれるとぼくはもはや海の上へいたんだ心臓は波にさらはれ青絹の野原をきのふの玩具がうごいてゆく。
※遠い鈴銀の鈴何かきこえる※そつとお祈りすると金の糸が胸まで届くああ小さな幸福!※まだ見ぬ少女。
背中の寒暖計に泪がたまる影もないドアをすぎて古びた時間はまだ叩いてゐるあれは樹液の言葉でもない背中の川を声だけで帰つてゆくものたち。
もうとどかない花の日よりもさびしかつたつかれのやうに羞んで古い折返しの向ふへかくれたひとよもうとどかない花の日のやうにいつまでもぼくは考へてゐる。
骨を折る音その音のなかに流れる水は乾き鳶色の風はおちて石に濡れた額は傾くままに眠つたみえない推移の重さに骨を折る音その音のなかに。
翳だけがささへてゐるあなたの重量からゆめの耳もみえない疲れのやうに羞んでよりそへば傷ついてゐる言葉たちどもつて吃つてわたしはじぶんの位置をかんがへる。
草深きなかに訪ねし夢跡の寒きかなしさ朽ち柵に倚れば仄かに胸にしむ旅のうれひよ緑濃きなかに見出でし人の世のさぶしさ夢を皆遠く流せし北上が瞳にしみる。
雲のたゆたう丘の上にほろり散つたはべに椿呼べども逝つた春の日の悲しい私のゆめかしら柳の新芽もほの匂ひ燕も来たに口づけて水に流した木れんはどこへ流れて行つたやら。
旅は泪よ故里はまだかよその日その日の夢になく運命に弱い我は悲しい渡り鳥旅は夢かよ春も逝くかよ柳の雨に濡れて泣く燕でないが我も悲しい渡り鳥―10・5・4―。
別れの馬車の鈴の音がつらい心をまたせめる日暮峠でみかへれば山が霞んで遠くなる寒い夜風に町の灯が悲しく遠くゆれてゐる馬車の窓から故山見れば空にほんのりおぼろ月(四・十二)。
つつましい文字のやうにその指を組みいまじぶんの脚で立つてゐた空にとどいた梢に天使のやうな雲がふとつつかかると花の咲かない樹樹はそのほそい指のあひだからおびただしいいのちを零した38.11.20。
ジンタは寂しい港町です朔風にうらぶれた潮騒です吐息のやうにとぎれては続きます濡れてゐるやうに泣いてゐるやうにラツパ・たいこ・クラリオ(ママ)ネツトジンタは冬がやつて来た港町です昨日の唄を昨日の生活を潮騒のやうに歌つて通ります。
ゆふぐれを君みおくりてばらの実の丘にのぼりつ鳩笛のおとに濡れゆくよは肩の君のほそさよこの赤きばらの木の実ををとめの日君はめでしにおそ秋の小径に消ゆるうしろ姿の君は悲しき暮れなやむ丘にたたずみばらの実をしみじみとみき。
風船にひつぱられて小鳥は中空たかくのぼつていつた風船はくるめく日傘をまはしあたたかな銀の雨を降らした小鳥はむしやうにうれしくなり力いつぱいそのすずを鳴らしたそれにしても風船にのれない重たい心――ぼくは丘のクツサンの中でじたばたするあばらに生えた青麦の芽をむしりながら。
テラアスにちかい海の日はアメシストの鏡から水もながれるだから頬をみがけぼくのアリサ葉ざくらのかげでお前は青い花だ2ハアプがながれてゐる月夜葡萄の木蔭はフオルマリンの匂ひがいつぱい歌のやうにぬれたこころをこほろぎがくすぐりはじめる。
春の帽子を振らう。
友よお前は二十歳ひととき朔北の風よりも疾くお前の額を貫ぬいて行つたものについてはもう考へまいわたしは聞いた大きな秩序のなかにただはげしい意欲をお前の軍靴の音をわたしの力いつぱいの背のびではとどかない流れよ幅広い苦悩のうねりよ友よ二十歳の掌のなかで燃えたものよ。
芹をつむ芹の沼べり今日もまためだかが浮いた肩あげの肩が細いとあの人はやさしく言つた名も知らぬ小鳥が鳴いた讃岐の山雲が通つたあの人は麦笛ふいた泪ぐみ昼月みて聴いた肩あげの肩も抱かずにあの人は黙つて去つた芹かごの芹のかほりがしんしんと胸に沈んだ。
はながさいてゐる目をつむつてぼくは見てゐるはなびらは色をうしなひあを白くうなだれて……はななればはなのやうになぜ笑はないのだらうはながさいてゐる目をそつとつむるといつでも黙つてさいてゐる背中をむけて向ふを向いて悒鬱な花よ匂ひのない――花ならば花のやうに……。
おほくの予感に充ちおまへの皮膚にはとどかずはるかに高い所をわたつたあの鋭い動きさへ速かに把へたのに精神よ季節は錆だ新しい時へ歩みを移すこともできず灰は灰に石は石に還つたしかしそれらの冷やかさを身をもつて感じてゐることはもつと不幸だつた。
どこかに妹がきてゐるtom・tomとゴムまりをついてゐるぼくの心のゴムまりを妹はtom・tomとだまつてついてゐる2もうとどかない花の日がぬれてゐる思ふことがみんな童話になつてはくづれてゆくふるいオルゴオルのふるい折返しからの歌よこはれた心のひびきよふるさとの声よ雨の音よ。
寒々と背姿の林は続き連峯は雪よれよれの路はまた坂になり鴉はあをあをと山蔭に群がりああ少年の日の悲歌が甦(よみが)へるゆふぐれよりも早くぱらぱら何時かのように村は花を灯し村はまた何かを悲しむであらうこんなにも林の多い路だつたかと少年の日のふるさとに――傷心のわたしであつた。
波がものを言ふやうになつてから誰も姿を見せない砂浜に抵抗する事を知らない貝殻のやうな女が私生児を抱いて立つてゐたそれは――生きる為には、生きる為には泥蟹をまで食べなければならぬ悲しい漁村の一つの姿である夢を見ることのゆるされない漁村の娘は今日泥蟹の殻ばかりを捨てに行くのだつた。
渡り鳥の様に旅をしてみたい時がある雲の様に旅をしてみたい時がある風のままに漂々と旅をした俳人芭蕉を憶ふ病の床にあれば一人旅を欲する――束縛された人生を思ふからである葬り去られた夢を思ひ出すに耐へられないからであるそして吾今いたつきに泣く明日のない人間だからである――旅を想ふ渡り鳥を思ふ雲を芭蕉を……。
星は夢の様に美しくかなしい星は思ひ出の様になつかしくわびしい故里を遠くはなれた旅人は星を見れば故里を思ひ出すだらう――明り星の出てゐる故里の山を星の様にやさしく星の様にうるんだ父母の瞳を……妹よ!窓をしめてくれ星が流れる星が妹よ!窓をしめてくれ――又思ひ出してはならぬものを思ひ出すだらうから。
よりそふ暇もなくこみあげる約束はうばはれていつた疲れのやうに吃つてゐる炎よくづれる愛をさらに踏みしめ時間のかげに身をこがしてもじぶんの力で倒れかかり義足よ記憶は埋れ虚しい体温からすべての言葉はかへらないいまはとざされた扉も消え匂ひににた沈黙もなく夜の静脉がかなしく映えてゐる。
枯れ葉は足につつかかり街燈はぬれてまたたき霧さへ降つてゐたおそい街の夜だつたお前は人の歌をそつと歌ひお前は思い出したやうに歩いた僕たちの街と本当に言へただらうか美しい愛情の破片がそこに花咲いてゐただらうかあきらめたやうに枯れ葉をふみ街燈の下を深海魚のやうになぜ歌つて歩かねばならなかつたのだらうそんな僕たちの街ではなかつたか――。
高館に登りて見れば小糠雨烟りて寒く朽ちかけし家のほとりの高き木に鳴く蝉かなし苔かほる古き木に倚りその昔の人をしのべど木々に吹く風も寂しく消えて行く思ひ儚し遠山の淡くけむりて北上は北の果よりその昔の夢を語らずうね/\とうねりて流る故郷を遠くはなれて旅に見る夢跡かなし生ひ繁る草木の緑高館に吹く風寒し。
せるろいどのやうにふるへるむかしむかしのお姫さまよ童話の向ふから童話のやうに掌をあげて黒びらうどの青い喪服がよく似合ふあれあれ木馬もお通りなさるがたがた首をゆさぶりはげ落ちた灰色の眼で何を見つめるのやらみんなみんな蒼白いせるろいどの向ふよみんなみんな幻燈の様に通りすぎた昔よ黒びらうどのお姫さまよはげ落ちて歩けない木馬よ幻燈の後に残されたわたしよ一枚の絵のないふいるむよ。
妹よあの跫音は何であらう喪はれた美しい日々の歌声ではない今日も夕暮近い霙の中を通つてよ怖ろしい鴉の黒い群であらうか散薬の重いしめりに病み呆(ほほ)けたわたしの胸にやつて来てわたしの肋骨をこつこつとたたく何であらう妹よお前さへ居ない此の部屋をこつこつとたたくのはいつたい何であらう霙のやうに冷たい死の掌か――霙のふる夕暮は霙のふる夕暮に似てさびしい私の若さ・いのちであるのだ...
この傾斜ではお伽話はやめてこはれたオペラグラスでアラベスク風な雨をごらんひととき鳩が白い耳を洗ふとシガーのやうに雲が降りて来てぼくの影を踏みつけてゐる光のレエスのシヤボンの泡のやうに静かに古い楽器はなり止むそして…………隕石の描く半円形のあたりでそれはスパアクするカアブする匂ひの向ふに花がこぼれる優しい硝子罎の中ではひねくれた愛情のやうにぼくがなくした時刻をかみしめる...
葩束を編みながら美しく羞むひとよ夕べバルコンの影の跫音の言葉ならはるかな愛情も匂ふでせう★梢に鴉の喪章はゐない***新しいアアチの青貝路にペンキの響き自転車で春の帽子がかけてくる★樹樹の梯子を登りをりして歌ふものたち***花に飾られた日射しの緑のブランコの優しい肩にのりあなたは空まで駈けあがる★雲がじぶんでドアをあける光りにまじつて小鳥の声もおちてくる...
非望のきはみ非望のいのちはげしく一つのものに向つて誰がこの階段をおりていつたか時空をこえて屹立する地平をのぞんでそこに立てばかきむしるやうに悲風はつんざき季節はすでに終りであつたたかだかと欲望の精神にはたして時は噴水や花を象眼し光彩の地平をもちあげたか清純なものばかりを打ちくだいてなにゆえにここまで来たのかだがみよきびしく勾配に根をささへふとした流れの凹みから雑草...
翳に埋れ翳に支へられその階段はどこへ果ててゐるのかはかなさに立ちあがりいくたび踏んでみたことだらうものいはず濡れた肩や失はれたいのちの群をこえけんめいにあふれる時間をたどりたかつたあてもない歩みの遅速のままにどぶどろの秩序をすぎもはや美しいままに欺かれうつくしいままに奪はれてゐたしかし最後の膝に耐えこみあげる背をふせはげしく若さをうちくだいて...
枝を折るのは誰だらうあはただしく飛びたつ影は何であらうふかい吃水のほとりからそこここの傷痕からながれるものは流れつくしかつてあつたままに暮れていつたいちどゆけばもはや帰れない歩みゆくものの遅速に思ひをひそめ想ひのかぎりをこめいくたびこの頂に立つたことかしづかな推移に照り翳り風影はどこまで暮れてゆくのかみづから哀しみを捉へて佇むとふとこころの佗しい断面からわたし...
私は墜ちて行くのだ破れた手風琴の挽歌におくられて古びた天鵞絨の匂ひに噎び黝い霧に深く包まれてゆふぐれの向ふへと私は墜ちて行くのだ今はこの掌に触れた蒼空もなく胸近く海のやうに揺れた歌声も――どうしたのだ私の愛した小さくて美しかつたものよ小鳥たちよ草花たちよ新月よ青い林檎よしきりに眩暈がおしよせる心には悔恨が一本の太い水脈となり――陰鬱な不協和音が青く戦き狂つたヴイオロンが駈け廻り...
硝子窓から青猫がやつて来てぼくの膝にのるよろよろとまるで一枚の翳のやうなやつだ背をなでてゐるとぼうぼうと啼き出しぼくの腹の中までぼうぼうと啼き出しこいつこいつ…………だがお前の眼のうるんだ青白い幻燈よゆううつな向日葵のやうにくるりくるりと黒繻子の喪服の似合ふ貴婦人かお前は晩秋のやうにぼくの膝にやつてくる苦い散薬の重いしめりに色変へるまで青猫を思索するぼくの若さよ何年も座つてゐたやうに立ち上り窓に...
※梢が空にとどいてゐる美しい樹々よ花の咲かない…………花はなくともああせめてものわが願い※樹々の編む光りのハンモツクに僕はつつましく腰をおろす風が静かにひかるときゆれないハンモツクで僕はそつと時間をみ失ふ※小さな口をあけてぽくぽくと駆けてくる波頭よさうして何も彼も洗ふがいい…………貝殻の中の小さな海にも冷い空が...
骨を折る音その音のなかに流れる水は乾き菫色の空は落ちて石に濡れた額は傾くままに眠つたみえない推移の重さにみえない推移の重さに眼をとぢて凍える半身は崩れるもの影とともに忘却をまつた想ひ出せないのかゆくひとよかつては水の美しいこりんとの町にゐたことをいちどゆけばもはや帰れないことをいつからおまへは覚えたのか梢ちかく羽ばたく音はなく背中につつかかる微風は更になく...
扉や窓を濡し支柱や車輪を濡し出ていつた音よ仄かな調和のどこにも響はすでに帰らない色彩はなく無表情の翳がうかびしづかな匂ひがひろがり脱落するシヤツのあとにはあやまちのごとく風が立つた柱廊はひきつり手すりはくづれ静止した平面は静止した曲面とともにいちぢるしく暮れたきびしく遅速をかぞへる時差のそとに屹立する実体もまたひとつの影像である壊れた通路を...
骨を折る音その音のなかに流れる水は乾き鳶色の風は落ちて石に濡れた額は傾くままに眠つたみえない推移の重さに骨を折る音その音のなかに佯りの眼を閉ぢて凍える半身は倒れるもの影とともにうつしく忘却をまつた骨を折る音その音のなかにおまへを鞭うつものはすでにない目かくしをする掌もなくいのちににじむ明りもない凭れかかる肩もなく壊れてゐる家具さへない...
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