書き出し
非望のきはみ非望のいのちはげしく一つのものに向つて誰がこの階段をおりていつたか時空をこえて屹立する地平をのぞんでそこに立てばかきむしるやうに悲風はつんざき季節はすでに終りであつたたかだかと欲望の精神にはたして時は噴水や花を象眼し光彩の地平をもちあげたか清純なものばかりを打ちくだいてなにゆえにここまで来たのかだがみよきびしく勾配に根をささへふとした流れの凹みから雑草...
初出
1939年
(「荒地 4集」1939(昭和14)年11月)
底本
「増補 森川義信詩集」国文社, 1991(平成3)年1月10日