書き出し
春――三月――薄氷をくだいておらあ田んぼを打っためっぽー冷こい水だ足が紫色に死んで居やがる今日は初田打晩には一杯飲めるべーと気付いたのでおらあ勇気を出したベッー※手に唾をひっかけて鍬の柄をにぎっただがやっぱりだめ手がかじかんで動かないちきしょうおらあやっぱり小作人なんだそれから夏が来た煮えかかるような田の中で俺達は除草機の役をする十日も続く指の先か...
初出
1929年
(「戦旗」1929(昭和4)年10月号)
底本
「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社, 1987(昭和62)年5月25日