書き出し
白い小学校の運動場でおれたちはひるやすみした枝のないポプラの列の影がながいポプラの枝のきれたところに肋木の奇妙なオブジェに赤い帽子に黒い服のガラスのような子供たちが流れくずれてかちどきをあげておれたちの眼をいたくさせる日の丸が上っている校舎からオルガンがシャボン玉みたいにはじけてくるおれのよごれた手はヂストマみたいに飯盒の底をはいまわり飯粒をあさっているさあこの手でもって「ほまれ」をはさ...
底本
「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」藤原書店, 2001(平成13)年11月30日