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中勘助の全作品

青空文庫で公開されている中勘助の全作品12篇を、おすすめ人気順で表示しています。

1〜12件 / 全12件
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前篇私の書斎のいろいろながらくた物などいれた本箱の抽匣に昔からひとつの小箱がしまつてある。
これは芙蓉(ふよう)の花の形をしてるという湖のそのひとつの花びらのなかにある住む人もない小島である。
私はまたその妹とすごした海岸の夏をわすれたことはない。
秋草これはもうひと昔もまえの秋のひと夜の思い出である。
姉の死と同時に私のところの家庭はもう久しく予期された行きづまりに到著した。
生垣つづきの小路が交叉してるところで私たちはばつたり出逢つた。
昭和三十五年三月三十一日いつだつたか新聞に蓮の研究で有名な大賀博士が府中の大国魂神社のすばらしい欅の並木が滅びてゆくのを惜まれる記事が載つてたのを読んだ。
昭和三十三年十二月家のない私は三十前後のころ谷中の真如院という寺に仮寓していた。
なにか書かないかといつて「能楽思潮」を贈られたが私はずゐぶん古い能楽愛好者ではあるけれども能楽を研究したこともなければその暇もなかつたし、そのうへ学校を出てからは気分的に、或は住居その他の関係からも久しく観能を中絶しなければならなかつた。
昭和十五年十月四日姉の病気のため五月末から外へ出ず、もう大丈夫となってからもやはり気がかりなので余儀ない用事の場合月に二、三度、それも見舞の人に留守を頼んで出たついでに日にあたってくるぐらいが関の山だった。
これらの断片は昭和九年九月の初旬母が重態に陥ったときから十月の初旬その最後のときまでのあいだに書かれたものである。
今から十八年前の秋、ひとりであの島ごもりをしてたときに私は九州へかたづいてる妹が重体だという思いがけない知らせをうけとった。
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