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蔵原伸二郎
短編(5分以内)
5分以内で読める蔵原伸二郎の短編作品
青空文庫で公開されている蔵原伸二郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編6作品を、おすすめ人気順に表示しています。
(〜2,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
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岩魚
(1963年)
蔵原伸二郎
5分以内
1,640 文字
岩魚――宋青磁浮紋双魚鉢――五月のあかるい昼さがりあまりに生の時間が重いので私はひとり青磁の鉢...
岩魚
蔵原伸二郎
5分以内
岩魚――宋青磁浮紋双魚鉢――五月のあかるい昼さがりあまりに生の時間が重いので私はひとり青磁の鉢を見ている空いろの底に二匹の岩魚が見えたりかくれたりすぎる風に水がゆれると岩魚の背もかすかに紅いろに光るまた水底をよぎる遠い宋時代の雲ながい時間のかげりをひいて愁いの淵に岩魚はねむり時に目を醒ましてはねるといつのまにか蒼天をおよいでいる鮭白い皿の上の...
狐
(1957年)
蔵原伸二郎
5分以内
1,572 文字
めぎつね野狐の背中に雪がふると狐は青いかげになるのだ吹雪の夜を山から一直線に走つてくるその影凍...
狐
蔵原伸二郎
5分以内
めぎつね野狐の背中に雪がふると狐は青いかげになるのだ吹雪の夜を山から一直線に走つてくるその影凍る村々の垣根をめぐりみかん色した人々の夢のまわりを廻つて青いかげはいつの間にか鶏小屋の前に坐つている二月の夜あけ前とき色にひかる雪あかりの中を山に帰つてゆく雌狐狐はみごもつている黄昏いろのきつね山からおりて来た狐が村の土橋のあたりまでくる...
足跡
蔵原伸二郎
5分以内
113 文字
ずつと昔のこと一匹の狐が河岸の粘土層を走つていつたそれから何万年かたつたあとにその粘土層が化石...
足跡
蔵原伸二郎
5分以内
ずつと昔のこと一匹の狐が河岸の粘土層を走つていつたそれから何万年かたつたあとにその粘土層が化石となつて足跡が残つたその足跡を見ると、むかし狐が何を考えて走つていつたのかがわかる。
秋
蔵原伸二郎
5分以内
292 文字
釣竿の影がうつつているこの無限の中で釣をする人はしつかり岩の上に坐つたままねむつているねむつた...
秋
蔵原伸二郎
5分以内
釣竿の影がうつつているこの無限の中で釣をする人はしつかり岩の上に坐つたままねむつているねむつたまま竿をにぎつている今日は川魚たちの祝祭日みんな青い時間の流れにそつてさがつている針を横目でにらみながら通りすぎる今までどうにか生き残つた魚たちの今日はお祭りなんだよ先頭を行く逞しい雄のあとを紅いろに着飾つた雌たちが一列になつておよいでゆく水底の砂にゆれる光る青空と白い雲...
自序にかえて
――読売文学賞受賞の言葉――
蔵原伸二郎
5分以内
796 文字
はからずも権威ある読売文学賞を受賞して驚くとともに、たいへんうれしく思つています。
自序にかえて
――読売文学賞受賞の言葉――
蔵原伸二郎
5分以内
はからずも権威ある読売文学賞を受賞して驚くとともに、たいへんうれしく思つています。
岸辺
(1964年)
蔵原伸二郎
5分以内
1,338 文字
岸辺冬の日がかんかん照つていた川岸の枯草の中から首だけ出して八十九歳の老人が釣をしていた釣竿を...
岸辺
蔵原伸二郎
5分以内
岸辺冬の日がかんかん照つていた川岸の枯草の中から首だけ出して八十九歳の老人が釣をしていた釣竿をもつたまま水に映るちぎれ雲の間をおよぐ冬の魚たちと昔話をしながら老人は死んでいたちかちかと日はかたむいていた一匹の紋白蝶がよたよたと向う岸に渡つていつた魚たちが老人を呼んでいた赤い小さなうきがかすかな波紋をおこして沈んだり浮いたりしている不在の人...
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