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60分以内で読める山本周五郎の中編作品

青空文庫で公開されている山本周五郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「60分以内」の中編23作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(12,001〜24,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
1〜23件 / 全23件
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その門の前に来たとき、保本登はしばらく立停って、番小屋のほうをぼんやりと眺めていた。
「病人たちの不平は知っている」新出去定は歩きながら云った、「病室が板敷で、茣蓙(ござ)の上に夜具をのべて寝ること、仕着が同じで、帯をしめず、付紐を結ぶことなど、――これは病室だけではなく医員の部屋も同じことだが、病人たちは牢舎に入れられたようだと云っているそうだ、病人ばかりではなく、医員の多くもそんなふうに思っているらしいが、保本はどうだ、おまえどう思う」「べつになんとも思いません」そう云ってから、登はいそいで付け加えた、「却って清潔でいいと思います」「追従を...
「鰍(かじか)やあ、鰍を買いなさらんか、鰍やあ」うしろからそう呼んで来るのを聞いてお高はたちどまった。
本田昌平は、ものごとをがまんすることにかけては、自信があった。
浅草の馬道を吉原土堤のほうへいって、つきあたる二丁ばかり手前の右に、山の宿へと続く狭い横丁があった。
その物音は初め広縁のあたりから聞えた。
梅雨があけて半月ほど経ったころ、狂女のおゆみが自殺をはかった。
十二月二十日に、黄鶴堂から薬の納入があったので、二十一日は朝からその仕分けにいそがしく、去定も外診を休んで指図に当った。
「今夜は籾摺(もみす)りをかたづけてしまおう、伊緒も手をかして呉れ」夕食のあとだった、良人からなにげなくそう云われると、伊緒はなぜかしらにわかに胸騒ぎのするのを覚え、思わず良人の眼を見かえした。
「今日は、そんなものを着てゆくのか」「はい」小間使の八重は、熨斗目麻裃を取り出していた。
さかまき靱負之助は息をはずませていた、顔には血のけがなかった、おそらくは櫛(くし)をいれるいとまもなかったのであろう、乱れかかる鬢(びん)の白毛は燭台の光をうけて、銀色にきらきらとふるえていた。
矢はまっすぐに飛んだ、晩秋のよく晴れた日の午後で、空気は結晶体のようにきびしく澄みとおっている、矢はそのなかを、まるで光の糸を張ったように飛び、※(みき)のあたりで小さな点になったとみると、こころよい音をたてて的につき立った。
吉村弥十郎はその手紙を三度もらって、三度とも読むとすぐに捨てた。
練り馬場と呼ばれるその広い草原は、城下から北へ二十町あまりいったところにある。
二年あまり病んでいた母がついに世を去ったのは弁之助が七歳の年の夏のことであった。
ゆうべ酉(とり)の刻さがりに長橋のおばあさまが亡くなられた。
「きょうここを出てゆけば、おまえにはもう安倍の家よりほかに家とよぶものはなくなるのだ、父も母もきょうだいも有ると思ってはならない」父の図書にはそう云われた。
妹たちが来たとき弥生はちょうど独りだった。
「あたしの主人はこんど酒井さまのお馬脇に出世したそうですよ」厚い大きな唇がすばらしく早く動いて、調子の狂った楽器のような、ひどく嗄(か)れた声が止めどもなく迸(ほとば)しり出た。
お石が鈴木家へひきとられたのは正保三年の霜月のことであった。
お孝はときどき自分が恥ずかしくなる。
今泉第二は藩主の参覲の供に加わって、初めて江戸へゆくことになったとき、和田軍兵衛の長女しのを嫁に欲しいと親たちに申し出た。
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