倉田百三の全作品

［＃ページの左右中央］この戯曲を信心深きわが叔母上にささぐ［＃改ページ］［＃ページの左右中央］極重悪人唯称仏。

［＃ページの左右中央］この書を後れて来たる青年に贈る［＃改ページ］兄弟よ、われなんじらに新しき誡を書き贈るにあらず。

＊私の信仰を言いますと、念仏申さるるように生きるという一語に尽きる。

信仰の経路について私の信仰これから私のもっている信仰についてお話をしたいと思います。

一、堅く堅く志を立てること。

あはれなる廿日鼠倉田百三お手紙を有難う御座いました。

この戯曲は私の青春時代の記念塔だ。

今日の社会状態において、婦人を家庭へ閉じこめて、社会の生活戦線における職業に進出することを防ぐことは不可能である。

一人の男と一人の女とが夫婦になるということは、人間という、文化があり、精神があり、その上に霊を持った生きものの一つの習わしであるから、それは二つの方面から見ねばならぬのではあるまいか。

天の原かかれる月の輪にこめて別れし人を嘆きもぞする私たちがこの人生に生きていろいろな人々に触れあうとき、ある人々はその感情の質が大変深くてかつ潤うているのに出会うものである。

善くならうとする祈り倉田百三我建超世願必至無上道斯願不満足誓不取正覚――無量寿経――私は私の心の内に善と悪とを感別する力の存在することを信ずる。

書とは何か書物は他人の労作であり、贈り物である。

女性と信仰男子は傷をこしらえることで人間の文明に貢献するけれども、婦人はもっと高尚なことで、すなわち傷をくくることで社会の進歩に奉仕するといった有名な哲人がある。

学窓への愛と恋愛学生はひとつの志を立てて、学びの道にいそしんでいるものである。

倫理的な問いの先行何が真であるかいつわりであるかの意識、何が美しいか、醜いかの感覚の鈍感な者があったら誰しも低級な人間と評するだろう。

予言者のふたつの資格日蓮を理解するには予言者としての視角を離れてはならない。

人法勝寺執行俊寛丹波少将成経平判官康頼有王（俊寛の昔の家僮）漁夫（男、女、童子ら数人）丹左衛門尉基康（清盛の使者）その従者数人船頭数人時平氏全盛時代所鬼界が島［＃改ページ］第一幕鬼界が島の海岸。

これは私が大正三年秋二十二歳の時一高を退学してから、主として、二十七歳の時「出家とその弟子」を世に問うまで、青春の数年間、孤独の間に病を養いつつ、宗教的思索に沈みかつ燃えていた時代に、やはり一高時代のクラスメートで、大学卒業前後の向上期にありし久保正夫君および久保謙君に宛てて書き送った手紙を編み集めたものである。

幼きころ幼きいのちは他者の手にある。