書き出し
[#ページの左右中央]初期詩篇[#改ページ]春の日の夕暮トタンがセンベイ食べて春の日の夕暮は穏かですアンダースローされた灰が蒼ざめて春の日の夕暮は静かです吁(ああ)!案山子はないか――あるまい馬嘶(いなな)くか――嘶きもしまいただただ月の光のヌメランとするまゝに従順なのは春の日の夕暮かポトホトと野の中に伽藍は紅く荷馬車の車輪油を失ひ...
初出
1934年
(「山羊の歌」文圃堂、1934(昭和9)年12月10日)
底本
「中原中也詩集」岩波文庫、岩波書店, 1981(昭和56)年6月16日