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60分以内で読める蘭郁二郎の中編作品

青空文庫で公開されている蘭郁二郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「60分以内」の中編7作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(12,001〜24,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
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森源の温室奥伊豆――と呼ばれているこのあたりは、東京からいって、地理的にはほんの僅かな距離にあるのに、まるで別天地といってもよいほど、南国のような、澄み切った紺碧の空と、そして暖かい光線に充ち満ちていた。
バー・オパール日が暮れて、まだ間もない時分だった。
鬱蒼と膨れあがって見える雑木の森が、左右から迫っている崖に地肌も見えぬばかり覆いかぶさっていた。
痛いばかりに澄み切った青空に、赤蜻蛉(とんぼ)がすーい、すーいと飛んでいた。
一、暁方は森の匂いがする六月の爽やかな暁風が、私の微動もしない頬を撫(なで)た。
黄昏――その、ほのぼのとした夕靄が、地肌からわき騰って来る時間になると、私は何かしら凝乎としてはいられなくなるのであった。
所長の発表が終ると、文字通り急霰のような拍手がまき起った。
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