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萩原朔太郎の全作品(3ページ目)

青空文庫で公開されている萩原朔太郎の全作品178篇を、おすすめ人気順で表示しています。

101〜150件 / 全178件
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おきつ邊かつ鳴る海青なぎ今手に動ずる胸をおせば哀愁ことごと浮び出でてたぎつ瀬涙の八千尋沼ああ世は神祕の影にみちて興ある歌もつ子等もあるに何をか若きに眉根ひそめ執着泣くべくえ堪へんや例へば人あり花に醉ひて秋雲流るる夕づつに樂觀すぎしを思ふ如く足ぶみせんなき煩ひかや信なき一人に戀しさで今年もさびしう春は行きぬ。
めざめよ、み空の金鑛、かなしくうたうたひ、なみだたれ、われのみ土地を掘らんとす、土地は黥青、なやましきしやべるぞ光る。
いもうとよ、そのいぢらしき顏をあげ。
朝青い服をきた獵人が、釣竿のやうなてつぽうをかついで、わん、つう、わん、つう、このへんにそつくりかへつた主人のうしろから、木製のしなびきつた犬が、尻尾のさきをひよこつかせ、わん、つう、わん、つう。
實は成りぬ草葉かげ小やかに赤うして名も知らぬ實は成りぬ大空みれば日は遠しや輝輝たる夏の午さがり野路に隱(かく)れて唱ふもの魔よ名を蛇と呼ばれて拗者の呪ひ歌節なれぬ野に生ひて光なき身の運命悲しや世を逆に感じてはのろはれし夏の日を妖艷の蠱物と接吻交す蛇苺。
三人目の患者は、いかにもつかれきつた風をして、べろりと舌をたらした、お醫者が小鼻をとんがらして、『氣分はどうです』『よろしい』『食物は』『おいしい』『それから……』『それからすべてよろしい』そして患者は椅子からとびあがつた、みろ、歪んだ脊髓のへんから、ひものやうにぶらさがつた、なめくじの神經だの、くさつたくらげの手くびだの……。
鶉や鷓鴣の飛びゆくかなたにふたたび白堊の城は現はれ風のやうに消えてしまつた。
記憶をたとへてみれば記憶は雪のふるやうなものでしづかに生活の過去につもるうれしさ。
瀬川ながれを早み、しんしんと魚らくだる、ああ岩魚ぞはしる、谷あひふかに、秋の風光り、紫苑はなしぼみ、木末にうれひをかく、えれなよ、信仰は空に影さす、かならずみよ、おんみが靜けき額にあり、よしやここは遠くとも、わが巡禮は鈴ならしつつ君にいたらむ、いまうれひは瀧をとどめず、かなしみ山路をくだり、せちにせちにおんみをしたひ、ひさしく手を岩魚のうへにおく。
白雲のゆききもしげき山の端に旅びとの群はせはしなくその脚もとの流水もしんしんめんめんと流れたりひそかに草に手をあててすぎ去るものをうれひいづわがつむ花は時無草の白きなれども花びらに光なく見よや空には銀いろのつめたさひろごれりあはれはるかなる湖うみのこころもて燕雀のうたごゑも消えゆくころほひわが身を草木の影によこたへしにさやかなる野分吹き來りてやさしくも、かの高きよりくすぐれり(大...
すべては黒く凍つてゐるさびしくかたまる岩の上にみじめに歪んだ松の幹に景色は凍え、飢ゑ、まづしく光つて叫ぶばかり。
みどりに深き手を泳がせ涼しきところに齒をかくせいま風ながれ風景は白き帆をはらむきみはふんすゐのほとりに家畜を先導しきみは舞妓たちを配列しきみはあづまやに銀のタクトをとれ夫人よ、おんみらはまたとく水色の籐椅子に酒をそそぎてよみよ、ひとびときたる遠方より魚を光らし淫樂の戲奴は靴先に鈴を鳴らせり。
色白の姉に具されて。
菊もうららに咲きいでたれど我身は砂丘に寄りて悲しめりさびしや海邊のおくつきに路傍の草を手向くることこのわびしきたはむれにひとり樹木にすがりつきたましひも消えよとむせびなく。
歳まさに暮れんとして兵士の銃劍は白く光れり。
みなそこに魚の哀傷、われに涙のいちじるく、きみはきみとて、ましろき乳房をぬらさむとする。
塔は額にきづかる、螢をもつて窓をあかるくし、塔はするどく青らみ空に立つ、ああ我が塔をきづくの額は血みどろ、肉やぶれいたみふんすゐすれども、なやましき感傷の塔は光に向ひて伸長す、いやさらに伸長し、その愁も青空にとがりたり。
病氣はげしくなりいよいよ哀しくなり三日月空にくもり病人の患部に竹が生え肩にも生え手にも生え腰からしたにもそれが生えゆびのさきから根がけぶり根には纖毛がもえいで血管の巣は身體いちめんなりああ巣がしめやかにかすみかけしぜんに哀しみふかくなりて憔悴れさせ絹糸のごとく毛が光りますます鋭どくして耐へられずつひにすつぱだかとなつてしまひ竹の根にすがりつき、すがりつきかなしみ心...
わが故郷前橋の町は赤城山の麓にあり、その家竝は低くして甚だ暗し。
手はえれき、手はぷらちな、手はらうまちずむのいたみ、手は樹心に光り、魚に光り、墓石に光り、手はあきらかに光る、ゆくところ、すでに肢體をはなれ、炎炎灼熱し狂氣し、指ひらき啓示さるるところの、手は宙宇にありて光る、光る金屬の我れの手くび、するどく磨かれ、われの瞳をめしひ、われの肉をやぶり、われの骨をきずつくにより、恐るべし恐るべし、手は白き疾患のらぢう...
浮名をいとはば舟にのれ、舟はながれゆく、いま櫓櫂(ろかい)の音を絶え、風も雨も晴れしあけぼのに、よしあしぐさのみだるる渚をすぎ、舟はすいすいと流れゆくなり。
主よ、いんよくの聖なる神よ。
私にとつて限りなくなつかしく思はれるは、この集にをさめられた室生の抒情小曲である。
あさましき性のおとろへ、あなうらに薫風ながれ、額に緑金の蛇住めり、ああ我のみのものまにや、夏ふかみ山路をこゆる。
光り蟲しげく跳びかへる夜の海の青き面をや眺むらむあてなき瞳遠く放たれ息らひたまふ君が側へに寄りそへるに浪はやさしくさしきたりまたひき去る浪遠き渚に海月のひもはうちふるへ月しらみわたる夜なれや言葉なくふたりさしより涙ぐましき露臺の椅子にうち向ふこのにほふ潮風にしばなく鴎鱗光の青きに水流れ散りてやまずせかれぬ戀魚の身ともなりぬれば今こそわが手ひらかれ手はかたくあふるるものを押へたり。
ああ戀人の家なれば幾度そこを行ききずり空しくかへるたそがれの雲つれなきを恨みんや水は流れて南するゆかしき庭にそそげどもたが放ちたる花中の艶なる戀もしらでやは垣間み見ゆるほほづきの赤きを人の脣に情なくふくむ日もあらば悲しき子等はいかにせん例へば森に烏(からす)なき朝ざむ告ぐる冬の日もさびしき興に言よせて行く子ありとは知るやしらずやああ空しくて往來ずり...
受難の日はいたる主は遠き水上にありて氷のうへよりあまた光る十字すべらせ女はみな街路に裸形となりその素肌は黄金の林立する柱と化せり。
きびしく凍りて、指ちぎれむとすれども、杖は絶頂にするどく光る、七重の氷雪、山路ふかみ、わがともがらは一列に、いためる心山峽たどる。
こころにひまなく詠嘆は流れいづ、その流れいづる日のせきがたく、やよひも櫻の芽をふくみ、土によめなはさけびたり。
高原の空に風光り、秋はやふかみて、鑛脈のしづくのごとく、ひねもす銀針の落つるをおぼえ、ゆびにとげいたみ、せちにひそかに、いまわれの瞳の閉づるを欲す。
ちちのみの父を負ふもの、ひとのみの肉と骨とを負ふもの、ああ、なんぢの精氣をもて、この師走中旬を超え、ゆくゆく靈魚を獲んとはするか、みよ水底にひそめるものら、その瞳はひらかれ、そのいろこは凍り、しきりに靈徳の孝子を待てるにより、きみはゆくゆく涙をながし、そのあつき氷を蹈み、そのあつき氷を喰み、そのあつき氷をやぶらんとして、いたみ切齒なし、ゆくゆくちちのみの骨を負へるもの、光...
みよわが賽(さい)は空にあり、空は透青、白鳥はこてえぢのまどべに泳ぎ、卓は一列、同志の瞳は愛にもゆ。
ものごころ覺えそめたるわが性のうすらあかりは春の夜の雪のごとくにしめやかにしてふきあげのほとりに咲けるなでしこの花にも似たりああこのうるほひをもておん身の髮を濡らすべきかしからずはその手をこそふくらかなる白きお指にくちをあてやみがたき情愁の海にひたりつくさむおん身よなになればかくもわが肩によりすがりいつもいつもくさばなの吐息もてささやき給ふやこのごろは涙しげく流れ出でてひるもゆふべもやむことなし...
ぎたる彈く、ぎたる彈く、ひとりしおもへば、たそがれは音なくあゆみ、石造の都會、またその上を走る汽車、電車のたぐひ、それら音なくして過ぎゆくごとし、わが愛のごときも永遠の歩行をやめず、ゆくもかへるも、やさしくなみだにうるみ、ひとびとの瞳は街路にとぢらる。
この列をなす少女らのため、うるはしき都會の窓ぞひらかるる、みよいまし遠望の海は鳴りいで、なめいしを皿はすべりて、さかづきは歩道にこぼれふんすゐす。
この青くしなへる指をくみ合せ、夜あけぬ前に祈るなる、いのちの寂しさきはまりなく、あたりにむらがる友を求む。
魚のやうに空氣をもとめて、よつぱらつて町をあるいてゐる私の足です、東京市中の掘割から浮びあがるところの足です、さびしき足、さびしき足、よろよろと道に倒れる人足の足、それよりももつと甚だしくよごれた絶望の足、あらゆるものをうしなひ、あらゆる幸福のまぼろしをたづねて、東京市中を徘徊するよひどれの足、よごれはてたる病氣の足、さびしい人格の足、ひとりものの異性に飢ゑたる足、よつぱらつて堀ばたをあ...
ああその燃えあがる熱を感じてゐるこの熱の皮膚をしばしば貴女にささげる憂鬱の情熱をただ可愛ゆきひとつの菫の花を貴女の白く柔らかな肌に押しあてたまへここにはまた物言はぬ憂愁の浪紫をもて染めぬいた夢の草原ああ耐へがたい病熱の戀びとよ戀びとよ今日の日もはや暮れるとき私は貴女の家を音づれその黒い扉の影に接吻しようしほしほと泣く心の奧深く貴女はその惠をたれ慈愛をもて久遠の道を聽かせ給ふか...
一詠ゆきはふるまなつまひるのやまみちに光るこなゆきさんらんたりやわが道心のたなごころうすら侘しきたなごころ二詠ひじりのみあしつめたきみあしおんかたへやるせなくかけまつるさうぞくのしののめのこゆむらさきいろのあさがほ三詠なみぢのうへをとほくよりあゆませたまふわが主いえすよふなべりになみだをながしいちねん祈願したてまつる...
空と地とに緑はうまる、緑をふみてわが行くところ、靴は光る魚ともなり、よろこび樹蔭におよぎ、手に輕き薄刃はさげられたり。
△寒水春なれば小椿おちて山吹の黄をもつ流その流背戸を走れるいまやせたり、木がらしの行方もしらにさはさはと音する枯草のひびき寂寞の影をやどせば敗れ岩ところどころに冬を行くいささ小川の悲しげなりや。
青ざめしわれの淫樂われの肉、感傷の指の銀のするどさよ、それ、ひるも偏狂の谷に涙をながし、よるは裸形に螢を點じ、しきりに哀しみいたみて、をみなをさいなみきずつくのわれ、ああ、われの肉われをして、かくもかくも炎天にいぢらしく泳がしむるの日。
眼を惱(なや)む山雀の愁を分けて、秋の日乳母の里、梨寺に稚日想をなやみぬ花びら地に落つる音芥子ちるか秋なるにはた山なるにいと淋しや宵、また籠をいだいて憂ひぬ、鳥の病にああ疑ふ死せざらんや、いかでさて風ふかば、いかで聞かざらんや豆の葉の鳴る日を野面、雪に埋れし木枯あらばいかに淋しとて泣くこころ、鳥にかあらまし人...
堪へがたき惡寒おぼえてふとめざむれば室内の壁わたる鈍き光や障子を照らす光線のやや色づきて言ひ知らずものうきけしき物の香のただよふ宿醉の胸苦し腦は鉛の重たさにえたへず喉はひしひしとかわき迫り口内のねばり酒の香くるめくにがき嘔(ゑ)づく思そぞろにもけだもののかつゑし心獰惡のふるまひを思ひでて怖れわななく下卑たる女の物言ひざまはた酌人の低き鼻...
ながい疾患のいたみも消えさり、淺間の山の雪も消え、みんなお客さまたちは都におかへり、酒はせんすゐにふきあげ、ちらちら緋鯉もおよぎそめしが、私はひとりぽつちとなり、なにか知らねど泣きたくなり、せんちめんたるの夕ぐれとなり、しくしくとものをおもへば、仲よしの友だちうちつれきたり、卵のごときもの、菓子のごときもの、林檎のごときものを捧げてまくらべにもたらせり、ああ、けれども私はさびしく、...
かの家の庭にさく柘榴の花、あかるい日光の中にふるへる空氣のさびしみ、年老いたる祖母上よ。
○五月幟立つ家家の向うは海○暮鳥忌磯濱の煙わびしき年のくれ笹鳴笹鳴の日かげをくぐる庭の隅笹鳴や日脚のおそき縁の先○天城ごえ伊豆に入る日や遲櫻青梅に言葉すくなき別れ哉○青梅に言葉すくなき別れかな○冬日くれぬ思ひおこせや牡蠣の塚○我が心また新しく泣かんとす冬日暮れぬ...
井桁古びた天井に鼠の夢を驚かして今朝年越しの煤拂ひ、主人七兵衞いそいそと店の小者を引具して事に堪ふべく見えにけり。
詩人協會の用件にて高村光太郎氏を訪ふべく、前夜福士幸次郎君と約束がしてあつたので、萬世驛のミカドで待合せをする。
すべての易者たちは、彼の神秘な筮竹を探りながら、威嚇するやうな調子で言ふ。
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