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5分以内で読める萩原朔太郎の短編作品

青空文庫で公開されている萩原朔太郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編132作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(〜2,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
1〜50件 / 全132件
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中原君の詩はよく讀んだが、個人としては極めて淺い知合だつた。
クリスマスとは何ぞや我が隣の子の羨ましきにそが高き窓をのぞきたり。
ラムネラムネといふもの、不思議になつかしく愉快なものだ。
世田谷へ移つてから、新宿へ出る機會が多くなつた。
朝鮮人あまた殺されその血百里の間に連なれりわれ怒りて視る、何の慘虐ぞ。
ちちのみの父を負ふものひとのみの肉と骨とを負ふものきみはゆくゆく涙をながしそのあつき氷を踏み夜明けむとするふるさとにあらゆるものを血まみれにする萩原朔太郎。
先日大阪の知人が訪ねて来たので、銀座の相当な喫茶店へ案内した。
野のはて夕暮雲かへりてしだいに落ちくる夕雲雀の有心の調さへしづみゆけばかすかに頬(ほほ)うつ香ひありて夜の闇頒ちて幕くだる。
いすらへるよりかへりわれはゆきのうへにたちぬ。
ほつねんなれば魚にとへしんじつなれば耶蘇にとへ。
夕ぐれてほの痒くなる指のさき坂をくだれば一群の鳥は高きをすぎ行けり。
つゆしものうれひはきえず、わづかなるつちをふむとて、あなうらをやぶらせたまふ。
竹は直角、人のくびより根が生え、根がうすくひろごり、ほのかにけぶる。
洞窟の壁にふんすゐあり、さかづきをあぐる一聯(れん)のひと、秋ちかければ玻璃ながれ、空氣は谷間をくだる。
君はそれとも知らざれど我が手に持てる草ばなの薄くにじめる涙にも男ごころのやるせなき愁の節はこもりたり。
からたちの垣根の中に女のはしやぐ聲のする夕餉の葱のにほひする灯ともしごろからたちの垣根を過ぐる侘しさよ。
青いぞ、ゆきはまつさを、もも、さくらぎに花咲かず、青いこなゆき、光る山路に泣きくらす。
きみがやへばのうす情けほのかににほふたそがれに遠見の松を光らしめ遠見の櫻を光らしめ浪は浪浪きみがかたへと。
青くしなへる我が指のリキユールグラスにふるるとき生れつきとは思へども侘しく見ゆる爪形をさしも憎しと思ふなり。
うすらさびしき我が身こそ利根の河原の石ひろひひとり岸邊をさまよひて今日も小石をひろふほど七つ八つとなりにけり。
ふるへる、微光のよるに、いつぱつ、ぴすとるを撃つ、遠方に、金の山脈、かすかな、黒曜石の發光。
いつしんなれば、あふむけに屍體ともなる、つめたく合掌し、いんよくいちねん、きりぎりす青らみ、もはら、雀みそらに殺さる。
わが草木とならん日にたれかは知らむ敗亡の歴史を墓に刻むべき。
やはらかい、土壤の上に、じつと私が坐つて居る、涙ぐましい日だまりに、白い羽蟲のちらちらもえ、遠い春日のちらちらもえ。
霜つききたり木ぬれをそむるとおもひしものを庭にあづまやの遠見をそめうすべにさせる魚をそめわかるるきみのくちをそめ。
物みなは歳日と共に亡び行く。
兵士の行軍の後に捨てられ破れたる軍靴のごとくに汝は路傍に渇けるかな。
しよんぼり立つた麥畑、われのせつなさやるせなき、みぎむきや穗が光る、ひだりむきや穗が光る、しんじつわが身をどうせうぞ。
いたましき芽は伸びゆけり、春まだあさき土壤より、いとけなき草の芽生はうまれいで、そのこゑごゑはかしましく、はるる日中の、大空ふかくかがやけり。
けぶれる空に麥ながれ、麥ながれ、うれひをのせて汽車は行く。
俥にゆられつつ夕ぐれ時の街道を新町街道を急ぐ女よ眞赤な夕日は山の上白粉のゑりがさむしかろ今宵おん身の上に幸あれかし(一九一三・一〇・二〇)。
うすやみに光れる皿あり皿の底に蟲かくれ居て啜り鳴く晝はさびしく居間にひそみて鉛筆の心をけづるに疲れ夜は酒場の椅子にもたれて想ひにひたせる我が身の上こそ悲しけれ。
麥はさ青に延び行けり遠き畑の田作りの白き襦袢にえんえんと眞晝の光ふりそそぐ九月はじめの旅立ちに汽車の窓より眺むれば麥の青きに驚きて疲れし心が泣き出せり。
ひとのいのりはみなみをむき、むぎはいつしん、うをはいつしん、われはしんじつ、そらにうかびて、ゆびとゆびと哀しみつれ、たましひはねもごろにほとけをしたふ。
あなたのめぐみをもて雪をふらしてください、あなたのふしぎをもて牢獄の窓をあけてください、あなたのおほみこころのみまへに、わたくしの懺悔をささげまつる。
なにか知らねど泣きたさにわれはゆくゆく汽車の窓はるばるときやべつ畑に日は光り風見ぐるまきりやきりりとめぐる日にわれはゆくゆく汽車の窓なにか知らねど泣きたさに。
戀魚の身こそ哀しけれ、いちにちいよすにもたれつつ、ひくくかなづるまんどりん、夕ぐれどきにかみいづる、柴草の根はうす甘く、せんなや出窓の菫さへ、光り光りてたへがたし。
ああきみは情慾のにほふ月ぐさ、われははた憂愁の瀬川の螢、いきづかふ舟ばたの光をみれば、ゆふぐれのおめがの瞳にて、たれかまたあるはをしらむ、さざなみさやぎ、くちびるはそらをながるる。
愛妹のえりくびから一疋、瘋癲病院の窓から一疋、血えんのつかあなから一疋、いえすの素足から一疋、魚の背筋から一疋、殺人者の心臟から一疋、おれの磨いた手から一疋、遠い夜の世界で螢を一疋。
高い家根の上で猫が寢てゐる猫の尻尾から月が顏を出し月が青白い眼鏡をかけて見てゐるだが泥棒はそれを知らないから近所の家根へひよつこりとび出しなにかまつくろの衣裝をきこんで煙突の窓から忍びこまうとするところ。
黄菊はすでに散つてしまつた漕手よ船路を遠くかへつてくる時さびしい海鳥はますとに飛びかひ日は憂鬱の浪にただよふ。
かなしければぞ、眺め一時にひらかれ、あがつまの山なみ青く、いただきは額に光る。
うぐひすは金屬をもてつくられしそは畔の暗きに鳴き菫は病鬱の醫者のやうに野に遠く手に劇藥の鞄をさげて訪づれくる。
友だちはひどく歪んだ顏をしながら、虱(しらみ)に向つて話をした。
にくしん、にくしん、たれか肉身をおとろへしむ、既にうぐひす落ちてやぶれ、石やぶれ、地はするどき白金なるに、にくしん、にくしん、にくしんは蒼天にいぢらしき涙をながす、ああ、なんぢの肉身。
金のみ佛金の足一列流涕なしたまふ光る白日のうなべりにとをのおゆびを血はながれいたみてほそき瀧ながれしたたるものは血のしづくわれの戀魚の血のしづく光る眞如のうなべりに金のみ佛金の足一列流涕なしたまふ。
×千鳥あしやつこらさと來て見ればにくい伯母御にしめ出され泣くに泣かれずちんちろり柳の下でひとくさり×隣きんじよのお根ん性に打たれ抓められくすぐられじつと涙をかみしめる青い毛糸の指ざはり。
放蕩の蟲は玉蟲そつと來て心の底で泣く蟲夜としなればすずろにもリキユールグラスの端を這ふ蟲放蕩の蟲はいとほしや放蕩の蟲は玉蟲青いこころでひんやりと色街の薄らあかりに鳴く蟲三味線の撥(ばち)にきて光る蟲放蕩の蟲はせんなや。
さばかり悲しみたまふとや、わが長く叫べること、煉瓦の門に入りしこと、路上に草をかみしこと、なべてその日を忘れえず、いはむや君が來し方を指さし、かの遠望をしたたむる、あはれ、あはれ、わが古き街の午後の風見よ。
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