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児童書版

空家

宮崎湖処子
『空家』は青空文庫で公開されている宮崎湖処子の中編作品。16,099文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数
60分以内   16,099 文字
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書き出し
上麑島謀反の急報は巻き来たる狂瀾のごとく九州の極より極に打てり、物騒なる風説、一たびは熊本城落ちんとするの噂(うわさ)となり、二たびは到るところの不平士族賊軍に呼応して、天下再び乱れんとするの杞憂となり、ついには朝廷御危しとの恐怖となり、世間はみずから想像してみずから驚愕せり、ただ生活に窮せる士族、病人に棄てられたる医者、信用なき商人、市井の無頼らが命の価を得んとて戦場に赴くあるのみ、他は皆南方の風にも震えり、しかれども熊本城ははるかに雲のあなたにて、ここは山川四十...
初出
1889年   (「国民之友」1889(明治24)年8月)
底本
「日本の文学 77 名作集(一)」中央公論社, 1970(昭和45)年7月5日
表記
新字新仮名
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