菊池寛の全作品（2ページ目）

芥川が死んでから、はやくも二年半近くになる。

□北原白秋氏の出して居た雑誌の題「ザンボア」は誤つた発音で、実はザンボンと発音するのだ。

一、私は自分より富んでいる人からは、何でも欣（よろこ）んで貰うことにしてある。

小学生全集について、先月も書いたが、今月も少しかきたいと思ふ。

新聞の広告でも御承知のことと、思ふが、今度自分は芥川の援助をも乞うて、「小学生全集」なるものを編輯することになつた。

私は、所得税に対して不服であつた。

戊辰（ぼしん）正月、鳥羽伏見の戦で、幕軍が敗れたという知らせが、初めて桑名藩に達したのは、今日限りで松飾りが取れようという、七日の午後であった。

勝負事ということが、話題になった時に、私の友達の一人が、次のような話をしました。

皆さん、あなた方は、納豆売の声を、聞いたことがありますか。

明智光秀は、信長の将校中、第一のインテリだった。

リエージュの町の人で、ゼラール中尉を知らぬ者はあるまい。

新撰組結成新撰組の母胎とも云ふべき、幕府が新に徴募した浪士団が家茂将軍警護の名目で、江戸を出発したのは、文久三年の二月八日であつた。

大岡越前守は、江戸町奉行になってから一、二年経った頃、人相と云うことに興味を持ち始めた。

……君も知っているでしょう、僕の社の杉浦という若い写真師を。

苦学こそしなかったが、他人から学資を補助されて、辛く学校を卒業した譲吉は、学生時代は勿論卒業してからの一年間は、自分の衣類や、身の廻りの物を、気にし得る余裕は少しもなかった。

晩春の伊豆半島は、所々に遅桜が咲き残り、山懐の段々畑に、菜の花が黄色く、夏の近づいたのを示して、日に日に潮が青味を帯びてくる相模灘が縹渺（ひょうびょう）と霞んで、白雲に紛れぬ濃い煙を吐く大島が、水天の際に模糊として横たわっているのさえ、のどかに見えた。

内匠頭は、玄関を上ると、すぐ、「彦右衛と又右衛に、すぐ来いといえ」といって、小書院へはいってしまった。

人物坂田藤十郎都万太夫座の座元、三が津総芸頭と賛えられたる名人霧浪千寿立女形、美貌の若き俳優中村四郎五郎同じ座の立役嵐三十郎同上沢村長十郎同上袖崎源次同じ座の若女形霧浪あふよ同上坂田市弥同上小野川宇源次同じ座のわかしゅ形藤田小平次同上仙台弥五七同じ座の道化方服...

人物農夫甚兵衛二十九歳甚しき跛者その弟甚吉二十五歳同甚三二十二歳同甚作二十歳甚兵衛の継母おきん五十歳前後隣人老婆およし六十歳以上庄屋茂兵衛村人勘五郎村人藤作一揆の首領甲同乙刑吏、村人、一揆、その他大勢時文政十一年十二...

春が来た。

自分は、その頃、新聞小説の筋を考えていた。

清洲会議之事天正十年六月十八日、尾州清洲の植原次郎右衛門が大広間に於て、織田家の宿将相集り、主家の跡目に就いて、大評定を開いた。

その越の御山永平寺にも、爽やかな初夏が来た。

鳥羽伏見の戦で、讃岐高松藩は、もろくも朝敵の汚名を取ってしまった。

銀座のカフェ××××で、同僚の杉田と一緒に昼食を済した雄吉は、そこを出ると用事があって、上野方面へ行かねばならぬ杉田と別れて、自分一人勤めている△町の雑誌社の方へ帰りかけた。

バクダッドの町に、ヒンドバッドという、貧乏な荷かつぎがいました。