書き出し
坊や、私は今お前を見るお母さまの側にそい寝して居るお前を見る何と云うこましゃくれた相だ何と云う不思議な生物だそれが十ヵ月前に生れたあのみにくかった肉塊か母の胎内から外にとび出してさながら世の中を馬鹿にしたように一しゃくりくしゃみしてさて初めてオギャアと泣き出したあの肉塊かああお前は実に、私の驚異だまだお前のお誕生が来ないのにお前はもう立派な人間だ人並みにお前は悲しみを知って居る、人並みにお前...
初出
1918年
(「民衆」1918(大正7)年2月号)
底本
「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社, 1987(昭和62)年5月25日