書き出し
第一曲萬物を動かす者の榮光遍く宇宙を貫くといへどもその輝の及ぶこと一部に多く一部に少し一―三我は聖光を最多く受くる天にありて諸※(もろ/\)の物を見たりき、されど彼處れて降る者そを語るすべを知らずまた然するをえざるなり四―六これわれらの智、己が願ひに近きによりていと深く進み、追思もこれに伴ふあたはざるによる七―九しかはあれ、かの聖なる王國たついてわが記憶に秘藏めしかぎりのことゞも、今わが歌の材たらむ一〇―一二あゝ善きアポルロよ、この最後の...
底本
「神曲(下)」岩波書店, 1958(昭和33)年8月25日