懐中時計

夢野久作

初茸、松茸、椎茸、木くらげ、白茸、鴈（がん）茸、ぬめり茸、霜降り茸、獅子茸、鼠茸、皮剥ぎ茸、米松露、麦松露なぞいうきのこ連中がある夜集まって、談話会を始めました。

土原耕作

懐中時計が箪笥の向う側へ落ちて一人でチクタクと動いておりました。

香倶土三鳥

死にかかった病人の枕元でお医者が首をひねって、「もう一時間も六カしいです」と言いました。

夢野久作

アメリカ生まれのキューピーがいなくなったので、おもちゃ箱の中は大変なさわぎがはじまりました。

楠山正雄

むかし、むかし、ある家のお倉の中に、お米を持って、麦を持って、粟（あわ）を持って、豆を持って、たいそうゆたかに暮らしているお金持ちのねずみが住んでおりました。

新美南吉

イツピキノデンデンムシガアリマシタ。

ヴィルヘルム・カール・グリム

むかし、むかし、小さい女の子がありました。

宮沢賢治

わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。