書き出し
その美佐子は今朝からときどき夫に「どうなさる?やっぱりいらっしゃる?」ときいてみるのだが、夫は例の孰方つかずなあいまいな返辞をするばかりだし、彼女自身もそれならどうと云う心持もきまらないので、ついぐずぐずと昼過ぎになってしまった。
初出
1928年
(「大阪毎日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月17日<br>「東京日日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月18日)
底本
「蓼喰う虫」新潮文庫、新潮社, 1951(昭和26)年10月31日