書き出し
君はおれの肩を叩いてきいてくれる君は親しげなまざしでおれを見るおお君はいつもおれの同志おれたちの力強い同志しかしおれには今君の呼びかけたらしい言葉がきこえない君はどんなにかあの懐かしい声で留置場からここへ帰って来たおれに久方ぶりで語ってくれたであろうにおれには君の唇の動くのが見えるだけだパクパクとただパクパクと忙しげな静けさ、全く静けさイライラする静けさ扉の外に佇(た)っていたパイの跫音も聞...
初出
1932年
(「文学新聞」1932(昭和7)年7月15日)
底本
「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」新日本出版社, 1987(昭和62)年6月30日