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5分以内で読める今野大力の短編作品

青空文庫で公開されている今野大力の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編118作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(〜2,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
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少女子を孕(はら)めるという太りたる腹はみにくくかわいらし少女子を孕めるという十月なる日を算えては頬笑める孕めるは何の摂理ぞ夜深く何を悩める人の世に明日あり今日ありさて遠く夢想の国に青き花咲くとも聞けり孕めるは何の摂理ぞ少女子を孕めるという。
どれもこれも貧しくけだもののように虐げられふけた表情をもった北満の農民のズラリと並んだ十人の子供達五つ位の女の子はハデなよごれた花模様のズボンと上衣をきて支那曲芸に出てくるような格巧八つ位の女の子は労働者のオーバオールのようなやつを着て両口尻にカサを出しキリッと睨み、七つばかりの男の子は困惑したオジサンのようにふけてズボンの紐をダラリと下げまゆをひそめて立っている六つ位の男の子は一寸快活そうで安物の腕輪をはめ前髪で額...
赤色の三角旗風びうびうと飜し共産主義の一兵士三角地型に佇立する。
久しくして土を見ざる男なり男、地に楔を打ちよろこべり歌うたう。
一切宇宙の音響を失わしめよ吾をして無韻の国土の王たらしめよかくて孤りの声の響きあらしめよ。
羅漢寺の羅漢に盗癖ありてともれるろうそくの涙を啜り金財袋の紐をほどき赤さびた銅貨を奪う。
傾斜の丘に菜の花黄ろく咲けば軍団兵士の頭二個ばかり丘陵の蔭に並び出で銃先を見せすぐる。
我いのち今日もまたその一つをば切りつめぬ弱きもの何故ぞ虐げられて今日もまた泣いて過しき。
吾をして生命の本道に歩ましめ吾をして美しき言葉あらしめよ神よ呼ばず語らず黙として吾は殉情の勇士となる。
こころこころくるしいこころ痛みては傷つくこころ何人とものを語るも何人に慰められても扉ひらかずわがこころ。
石狩の川の流れは昔のアイヌ人種が毒木矢もて意気づく古風な姿を写しつつそは永遠に幻を画く平和なる村郷の中を岩に激し砂辺に寄せて流れている。
父あり母あり病児生る父あり母あり白痴生る父あり母あり天才生る父あり母あり盲児生る父あり母あり死児生る。
俺はお前の此の喜びはつまらぬと言う訳を知っているお前は現実には適しないお前はあの暗い瘋癲病舎で白日の中もおもむろに夢を食って楽しんで生きていればいい男だ。
馬を愛す地表を走らせて競馬という桜のすぐる頃葉桜の蔭に人々金を懸て馬をひょろひょろと走らす競馬というそして人間『馬を愛す』という。
ある魂は玩具を抱きて眠ると言うしかも玩具とは、せるろいど。
私もいつかは有髪の僧となって僧院の夕べ極まりもない苦悩の魂を抱いて独り銀杏の下にいこう身となりました(何と言うかなしい事実でありましょう、人間の子の青春は、かくして奪い奪われ去るのです)。
カラカラカラ風が吹くポプラのはっぱが吹かれてる風は面白そうに走ってく四辻に風は迷ってぐるぐるまわりあの人をそよと尋ぬ((ママ))てためしし((ママ))てぷっと口吻け逃げてゆく。
今宵夜はふけたり闇夜の天空高く一陣の星座を見るこは天に懸かる我十字架なりこの夜魂は単調なる鼓動に倦(う)み七重の塁壁を超えて至りそが前に静座し礼讃し祈祷す。
星が一つ森林の中の忘れられた静かな湖水へ降りて来て暫く思案にくれていた(それを知っていたものは誰もいない天空にいる星達さえも存じなかった)星にも厭世があるのかしら?星は湖水へ沈んで行った。
柱時計のけだるきリズムに眠たげなる洋燈の光りに深々と沈みゆく我らが生九時を聞き十時を聞きすべては眠りを欲りするの時みな底の吐息は泡となりほそぼそき昇天の心は我生の魂と共にかいのぼりゆく。
この腕で木刀をうけとめこの肋骨で拷問にこたえこの眼で奴らをねめかえしこの歯で奴等に喰いつきこの脚で敵の包囲を蹴破ったこの私のからだはお前のもの、そして一緒に階級のものプロレタリアートの陣営のもの。
生命形象の末路にこそわれは華やかなる讃美を贈らんかな生長に太りゆく肉体と自然それら皆空々無色の透明体となり精霊のみあれよ而して無用なる形態一切は生れ出でし日の永劫記念に神前の土深く埋葬し献ぜんかな。
街々にけむりさまよう秋夕べここもかしこも黄昏れて見分けもつかず劇場のクラリネットの高く低く或は長く短く囃立てる巷の声に相和して一つなる夕べの曲を今日もまたひとりし聞けばそのかみの日のなつかしまれつ涙ぐむ。
星はある夜緑の灯を輝やかし仲よく円座で評議する星はある夜右手を長くさし伸べて神秘な事件を信号する星はある夜さやさやさや清水の流れにたわむれる星はある夜森林の小枝に小さな首を吊していた。
人間美学の深奥にいときらびやかなる女人の像は久遠であるされど醜面白日のうちにさらけし卑しき女人の相を見るこはこれけもののみにくさにあらずみにくしとも蛇の如き呪いも見えず人間のみの具有せる暗愚なるものの像である。
自分の室で自分の演じていた舞台で自分を取巻き或は隙見し或は踊っていた一人の魔女「此世の一切は信疑の魔女の領分です勿論人間は私の兵卒よあなた何を惑っているの?それよりわたし自身のこの力を讃美でもして下さいなで賢こい人間あなた」。
こんな静かな晩、外は全くの闇である星はわずかに下界を雲間にのぞいている*ああ下界は午後十一時俺は今夜も自然教徒なる故に黒き衣を身に着けて静かに彼方の小高い丘へ歩んでゆく*小高い丘には一本の白樺が、聖十字架の如くにそびい((ママ))ている。
常夜の世界に生命ありてうごめける時光りは東方より、忍びやかに来りて輝き初め万物その己の存在を認め歓喜の頂点に至れるはいかに至上の盛事なりしか我等は光りの海に泳げる魚達なり光りなくして死を思う生命なり光りよあれ、而して永久に我等を愛でよ……。
色彩なければ我ら生はあらざらむ春宵の薄暮わが双眼の全き視神経は麻痺して宇宙は皆灰一色となり感ずべき何ものもなし心ただ焦燥して形なく踊れどもみたすべき何ものもなしああ春宵の薄暮奪われし色彩のかえらじ燃ゆるなき古城址の焔と消えんのみ。
明るい北国の十二月終日雪は降っていた一尺、二尺、それは容易な大空の変化のページェント又軽やかに香う土へのプレゼント*或日その前夜を名残に、吹雪は綺麗に止んでいた、そして北国のヌタプカムシペ連峯と上川平野の野原とにそれは雪国の特有な白光を輝かせて天への一大讃歌をあげていた。
空はにごれる白亜の色北国の――悩ましき擾乱大地ははっちを閉じている………地平の彼方――友等処女等同じくなやめ同胞達………北極の襲い来れる、白鵞の万毛風をよび、吹きなす、ひょうひょうの声木をゆるぎ、屋根をはぐ………狂暴の形態天魔の降臨。
ギリシャ古典の趾(のこ)せる物語りをも空理としてさげすむ勿(なか)れ吾等生命は土深く埋もれし精霊なりき神によりてつくられし形態をこそ讃美せる女人像の豊満なる肉体美をこそ讃美せよ曲線美なだらかに走れるあたりを讃美せよ而(しか)して土への感謝祭を土そは生命偶像の聖母なりし。
人手なき独り者治兵衛の麦はせに飛火して燃えうつり泡を喰った治兵衛は麦束もて火を叩く風つのり火はさかり麦はせは凡て燃え治兵衛は大火傷やけどした六十男治兵衛はわめきつつこげのこる麦の穂をかき集めかき集めかなしさと痛さとに大声で泣きわめく一九三四・六。
豆畑を越えて聞えて来る睦ましそうな話を私はねころんで聞いていたよくは聞きとれないけれどもほんとうに睦ましそうな話すげ笠の蔭にかくれて父も母も余念なく草を取りつつ何をか物語る子供はうね越えて遠く向うの方に事もなきうれしさの微笑を見せて母さんよ母さんよと呼び続けている。
船腹の色のはげ落ちた惨さは遠く波濤とたたかって来た今は疲労になやんでぐったりと体を伸べたようないたわりの心を感ずる廃船のようではないか英蘭の旗を船尾に立てて見れば船員が二三人甲板に出て立っているあの船員の眼は碧く頭髪は褐色に染み彼ら異邦を航海する人々雪降り暮るる港にあり。
トッ―トッ―トッ―トッポチョ―ポチョ―ポチョ解かれゆく雪の絶え間もなき点滴……点滴……三月の空灰色に消された空うす青く曇れるはかの密林の峯々高きに登りて見渡す街の煙の重さよ耀きなく動かぬ自然ゆらめくは流れる微風ゆるく……ゆるく……打ちつけてはとけゆく風はらめる風。
叔母に伯父山の人々尋ね来て語り合う久方の話さても又十年前の物語内地のことその山その川その家すべて今ならば夢か知らね柿の木も桑の木も背戸の林も表の山も美しい思い出の国母もまた我を背負いて渡り来し松前のなぞえの山をおぼろげにおもい出でしか語り明す夜はうれしも。
視よ、暁と呼ぶ東方の王子我等が上に君臨まします白日の御幸は今日もある由なりさてこそ王子は己れが光りの箭(や)を数多なる郎党も召従えず絶えず燦々(さんさん)と放たしむ箭は放たれたり地上は皆輝きたり東方の王子は今日一日にて中天をすぎさせ給える模様なり而(しか)して明日も再び参らせらるると承わる。
魂と魂と放浪の数日の後あるところを得たるはげによろこぶべき現象ぞよ白馬天をゆく碧瑠璃の空にわれらが魂の猛炎は赤きロマンチックの落日を偲ばしめ舞楽を奏するなり聞かずや宇宙の人々達分子を談ずる詩人達広大無辺の渚なき海われらは船を航し炬火を翳しはるかに行く……。
銀座の通りに畑が出来て緑青々とした麦畑が出来ようと空想していた友よ一きれのパンをむしって乞食の子に与え慈善をしたつもりの青年があった。
いち早く冬の来る北方の街頭に寒い空ッ風が吹きまくる或る朝理髪師の徒弟は店先を掃いていた店先に一本の街路樹があった落葉は風になぶられてあちこちに吹きたまる正直な徒弟は幾度もそれを掃いていた時が過ぎる徒弟は街路樹に登った木葉はもう一枚も街路樹に残っていなかった徒弟は街路樹をゆすぶり箒ですっかり叩き落していた五・一八。
私はいろいろな過去の日記や書きちらしや、あちこちの新聞雑誌へ発表したものや、その折々の切抜や、自分を育ててゆくための材料を古い家に置きっきりだった、転々と私は歩いた、私はそれらに目を通さなかった、私の過去は忘れ去られつつあった私は常にぽっかりと新らしい場所へ新らしい考えの中へ出て、そこから短かいものだけを、しかも又その場その場へ置いて歩いた、だから私は何年かぶりで病にたおれて古い家へかえりその古いものを見て立すくんだのである。
打ち返し泡立ち再び寄せ盛り上り岩を打つ波濤の歴史の永遠の力は時としてあの不可解な死への誘惑を感ぜしめる波に乗り暴風雨を経て大洋の航路にある旅客船は絶えず地球の経緯を計っているが世界を行く人々の心にあやしくもその感情の芽生えた時には海は彼等が凡て目的の彼方であり船長も水夫も多くの旅客も惜し気もなく悲しまず永遠の歴史の海底へ沈むであろう。
ある夜はくらやみの中に妻をよびよせて話すことすべて狂人の如く*来年の三月に死ぬと自分のいのちを予言して今日すいみん剤を多量にのんだといい、胸の苦るしさを訴えて妻を涙ぐませるうそのような真実に近いようなある日の宵*しゃべるとつかれてくるにしゃべること自分でよせと思いつつもたわごとの如くしゃべくる宵。
ふとして眺むれば彼処に笑めるは一人の不可解なる精霊の所有者であるわれは今その面を見つつ想う唇……おおそは紅の渕に囲われし底知れぬ沼である鼻……おおそはまろみあるエジプトのピラミットである眼……おおそはうるおい耀く黒曜石の玉を秘めし二つの湖水である眉……おおそは湖水をめぐりて小丘の上に繁れる林であるおおなめらかに広き無毛の原を過ぎ行けば彼方は千古の密林である。
そこはねずみも歩かない歩くべきではないひじりの行くべき道である空は明るく明るくまひるの如くに明るい一しきり降っていった雪は野に山に路に庭に夢見る様に積もっている雪は白い何よりも白いきよめられたる様に白い天と地の合体の風景である包む夜は厳に静かなしらべをひっ((ママ))ている*ひじりの為めに撒(ま)いた敷物はけがれる事を恐れている如くである。
あついあつい夕食後のあつさのんびりと立って見たやっぱり暑いむっちり蒸される様だひたいには汗がこんなににじむ*弟よ外へ行こう庭の石に腰をかけて鈴懸花の香をかいで青く澄み渡った北国の宵空に教えられたあの一つの星を探そう*七月七日の夜も近づいた牽牛織女の星がどこにあるかそれも探そう天の川流れるあたり天上の花のさても美しき事よ。
「未曾有のキキン」「大水害」「餓死の年」遠いほんとうに遠い父と息子の住んで居る土地は時代をとりちがえて生きて居るようにほんとうに遠い手紙の封筒はほご紙を飯粒のりでこさえておくる切手はどこかのすみからさがして来たようにすすけてしわくちゃだ父と息子のたよりは三銭の切手もめったに送らない父は「死んでしまおうか」と訴えてくる白髪のお母よ丈夫で居てくれ小さい弟妹よ、丈夫に育ってくれ。
荒蕪の平原に野を耕し草を食み、木の実を喰(くら)える人類生存の現象は高峯の麓にありてあまりにはかなき生命……盛夏白熱頂点に達せんとするも未だに消ゆるなき雪原の輝きは天地創造の第一年より永遠なり人類生命、億劫に至るも一切は幻滅に帰り無し――一切無し成体もこれ大地の化身なれば霊魂も又瞬間にして遺る何物もあらざるべしされど高峯は歴史を超え時代を超えて永遠……。
おおはるけき方より寄せ来る波濤よ汝が最大の実力と自信を持って岩礁を打て、万丈のしぶきを上げよその時、海神は大空に懸る天日をおおいて。
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