書き出し
何つう病気だか知らねいが、俺家のたけ子奴病気だどって帰って来た何でも片足だけは血が通わねえんだってそしてくさりこんでさうみが出てうみが出て、血の通うところまでぶった切って生れにもない片輪になりやがって二十一の働き盛り嫁盛りに何つうこった俺あ口惜しくて涙も出ねいたけ子の野郎奴はロクすっぽ金も持たずにおんだされて来やがったどうすべかいい考えもありやしねいああ俺は口惜しくてなんねい。
初出
1930年
(「文芸戦線」1930(昭和5)年5月号)
底本
「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」新日本出版社, 1987(昭和62)年6月30日