書き出し
草深い放牧地よ北海の高原に群がれる人々を養える郷土よ北海道よ未開地よここには名もなき小花も咲くであろう未だ人手に触れない谷間の姫百合も咲くであろう春ともなれば黄金の福寿草も咲くであろうかくてアイヌ古典の物語も想い出されるであろう2おお郷土の人々よ昔は卿等が渡道の頃は何処にも熊は住んでいた時として卿等よ憶い起してはならないあの殺伐な熊狩のあたりのことを又若き人々よあまりに華やかさを粧...
初出
1924年
(「日本詩人 新詩人号」新潮社、1924(大正13)年6月号)
底本
「今野大力作品集」新日本出版社, 1995(平成7)年6月30日