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児童書版

航海

今野大力
『航海』は青空文庫で公開されている今野大力の短編作品。289文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内   289 文字
人気
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書き出し
大いなる家鴨の姿に似たる連絡船の三等船室にて不愉快な動揺を感じ軽い頭痛に悩まされ渡り行く島の奥地に痛み悩む母への哀切に泣きつつひとりし寝転べば出稼人夫等の行く先々の未だ見知らざる地への憧れに満ちたる足に触れ最初は驚き縮んだ私ではあるが夢を持たない旅人のあらぬことをしみじみ我ながら感じては貧しき出稼労働人の心にもろくも兄弟達の涙を感じ足を伸べ組み添え瞳を交し微笑さえ見せて無言の...
初出
1928年   (「旭川新聞」1928(昭和3)年5月31日)
底本
「今野大力作品集」新日本出版社, 1995(平成7)年6月30日
表記
新字新仮名
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今野大力 の人気作品

少女受胎
今野大力
少女子を孕(はら)めるという太りたる腹はみにくくかわいらし少女子を孕めるという十月なる日を算えては頬笑める孕めるは何の摂理ぞ夜深く何を悩める人の世に明日あり今日ありさて遠く夢想の国に青き花咲くとも聞けり孕めるは何の摂理ぞ少女子を孕めるという。
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写真(北満の土産)その一
今野大力
どれもこれも貧しくけだもののように虐げられふけた表情をもった北満の農民のズラリと並んだ十人の子供達五つ位の女の子はハデなよごれた花模様のズボンと上衣をきて支那曲芸に出てくるような格巧八つ位の女の子は労働者のオーバオールのようなやつを着て両口尻にカサを出しキリッと睨み、七つばかりの男の子は困惑したオジサンのようにふけてズボンの紐をダラリと下げまゆをひそめて立っている六つ位の男の子は一寸快活そうで安物の腕輪をはめ前髪で額...
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ねむの花咲く家
今野大力
俺は病室にいる暗室のような部屋だ。
5分以内
組織された力
今野大力
どこからか捲き起された風渦になり、平になり、縦になり吹きまくってゆく、突風!疾風!屋根柾が矢のように走ってゆく塗炭板がぐうおうと引ぺがされて空をうなりながら飛んでゆくぐう、おう、ひゅうひゅう、おう、ぐう物凄い力となって粉々と雪を掻(か)っ飛ばして平原を十数丈の高さでぐんぐんと押よせる風陣!街の中も、原っぱも、村の街道も猛火のような怒りと憎しみに燃え立って前面に押し出し流され...
5分以内