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TOP 槙村浩 短編(30分以内)

30分以内で読める槙村浩の短編作品

青空文庫で公開されている槙村浩の作品の中で、おおよその読了目安時間が「30分以内」の短編4作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(4,001〜12,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
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思ひ出はおれを故郷へ運ぶ白頭の嶺を越え、落葉松の林を越え蘆の根の黒く凍る沼のかなた赭ちゃけた地肌に黝ずんだ小舎の続くところ高麗雉子が谷に啼く咸鏡の村よ雪溶けの小径を踏んでチゲを負ひ、枯葉を集めに姉と登った裏山の楢林よ山番に追はれて石ころ道を駆け下りるふたりの肩に背負繩はいかにきびしく食ひ入ったかひゞわれたふたりの足に吹く風はいかに血ごりを凍らせたか雲は南にちぎれ熱風は田のくろに流...
誰がこの困難無比の時代に労働者の利益のために最も正しい道を選んだか―――壁に頭を打ちあてるようなこの時代にその一つの例をおれは示そう―――確かに正しく!古味峯次郎君彼は鋼の中から打ち出され、飢餓の闘いが彼をボルセヴィキにまで鍛え上げた(1)彼は越知の狭い町はづれの小作兼自作農の家に生れたそしてこんな南国の山麓の息子たちがそうであるように十八の彼は嶺を越え花崗岩のはすに削られた灰青色の...
(若き日の孤独を灼きつくす情熱をわれらに与えよわれらをして戦いに凍えたる手と疲れたる唇に友を亨けしめよ銀の鉛屋根の上に朽葉色の標燈の照らす夜をわれらの老いたる母のひとり眠る時明るき原と自由なる槌を、こゝに赤きプラカードのごとくわれらと共に擁する友を亨けしめよ牢獄!崩れた喜びと愛と思い出の蘇る日友と生活の悦びを金盞花えの雑りけなき接吻と共に鉄色の電気の溶流の瞬間の衝撃のごとく...
その時僕は牢獄の中に坐ってゐた格子が僕と看守の腰のピストルとの間をへだてゝゐた看守はわざ/\低くつくりつけた窓からのぞきこむために朝々うやうやしく僕にお辞儀し僕はまだ脱獄してゐない証拠としてちびつけのブハーリンのような不精髯の間から朝々はったと看守をにらみつけたこれが僕らの挨拶だった朝になると、窓が右からかげって来た夜になると、窓が左からかげって来たそのたびにアスファルトのどす黒い影が...
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