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槙村浩の全作品(2ページ目)

青空文庫で公開されている槙村浩の全作品58篇を、おすすめ人気順で表示しています。

51〜58件 / 全58件
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今宵電車は進行を止め、バスは傾いたまゝ動かうともせぬ沿道の両側は雪崩れうつ群衆、提灯と小旗は濤のように蜒り歓呼の声が怒濤のように跳ね返るなかをおれたちは次々にアーチを潜り、舗道を踏んでいま駅前の広場に急ぐおゝ、不思議ではないかかくも万歳の声がおれたちを包みおれたちの旅がかくも民衆の怒雷の歓呼に送られるとは!春の街は人いきれにむれ返り銃を持つ手に熱気さへ伝はる火の海のやうな市街を見詰めながら、おれはふと思...
餅とは何と鋤き返された幼い南の郊外の野の思い出のように甘いものだろう!高岡のひとりぼっちの叩き廻っても後の沼地一ぱいがらんどうな響きしかはね返してこぬ豚箱の中で僕はしみじみと生のうどんの皮をひっぺかしながらそう思ったそれは青い蚊帖が雨上りの甘酸っぱい臭いをたてながら差入れの風鈴と一しよにゆさ/\揺れていた時だった!背の低い長髪のいつも怒ったような顔をしたそれで...
高粱[#「高粱」は底本では「高梁」]の畠(はたけ)を分けて銃架の影はけふも続いて行く銃架よ、お前はおれの心臓に異様な戦慄を与へる――血のやうな夕日を浴びてお前が黙々と進むときお前の影は人間の形を失ひ、お前の姿[#ルビの「すがれ」はママ]は背嚢に隠れお前は思想を持たぬたゞ一箇の生ける銃架だきのふもけふもおれは進んで行く銃架を見た列の先頭に立つ日章旗、揚々として肥馬に跨(またが)る将軍たち、色蒼ざめ[#「色蒼ざめ」はママ]疲れ果てた兵士の群―おゝ...
鎌と槌をうちぬくひろ/″\とした美くしい自由の花園をへだてゝ砲口をそなえた二つの牢獄がそゝり立つ!―――日本!東方の突端この蜜房のようなじめ/\した数千の牢獄の一画におれらが住み―――潮が南方のたぎりたつ褐色の急潮が夜の銃架のように、おし静まった独房のはての島々の礎石を噛み残虐な奴隷労働の、憂愁と反逆を箭のような熔熱にのせて北流し―――化石した憂愁を、大陸の凍岸に崩折れしめあ...
華厳経と法華経は古来仏教の二大聖典として、併称された。
誰がこの困難無比の時代に労働者の利益のために最も正しい道を選んだか―――壁に頭を打ちあてるようなこの時代にその一つの例をおれは示そう―――確かに正しく!古味峯次郎君彼は鋼の中から打ち出され、飢餓の闘いが彼をボルセヴィキにまで鍛え上げた(1)彼は越知の狭い町はづれの小作兼自作農の家に生れたそしてこんな南国の山麓の息子たちがそうであるように十八の彼は嶺を越え花崗岩のはすに削られた灰青色の...
(若き日の孤独を灼きつくす情熱をわれらに与えよわれらをして戦いに凍えたる手と疲れたる唇に友を亨けしめよ銀の鉛屋根の上に朽葉色の標燈の照らす夜をわれらの老いたる母のひとり眠る時明るき原と自由なる槌を、こゝに赤きプラカードのごとくわれらと共に擁する友を亨けしめよ牢獄!崩れた喜びと愛と思い出の蘇る日友と生活の悦びを金盞花えの雑りけなき接吻と共に鉄色の電気の溶流の瞬間の衝撃のごとく...
その時僕は牢獄の中に坐ってゐた格子が僕と看守の腰のピストルとの間をへだてゝゐた看守はわざ/\低くつくりつけた窓からのぞきこむために朝々うやうやしく僕にお辞儀し僕はまだ脱獄してゐない証拠としてちびつけのブハーリンのような不精髯の間から朝々はったと看守をにらみつけたこれが僕らの挨拶だった朝になると、窓が右からかげって来た夜になると、窓が左からかげって来たそのたびにアスファルトのどす黒い影が...
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