曙覧は文化九年、福井市内屈指の紙商、井手正玄の長男として生れたが、父祖の余沢に浴することをせず...
曙覧は文化九年、福井市内屈指の紙商、井手正玄の長男として生れたが、父祖の余沢に浴することをせず、豊かな家産と名跡、家業を悉く異母弟に譲つて、郷里を離れた山里や町はづれに、さゝやかな藁家を構へ、学究歌道に専念した。
ことしの盂蘭盆には、思ひがけなく、ぎり/\と言ふところで、菊五郎が新仏となつた。
ことしの盂蘭盆には、思ひがけなく、ぎり/\と言ふところで、菊五郎が新仏となつた。
記紀の死語・万葉の古語を復活させて、其に新なる生命を託しようとする、我々の努力を目して、骨董趣...
記紀の死語・万葉の古語を復活させて、其に新なる生命を託しようとする、我々の努力を目して、骨董趣味・憬古癖とよりほかに考へることの出来ない人が、まだ/\随分とあるやうである。
あゝ言ふ時代別けは、実はおもしろく思はぬのだが、一往は、世間に従うておいてよい。
あゝ言ふ時代別けは、実はおもしろく思はぬのだが、一往は、世間に従うておいてよい。
斎藤さんの文学や、学問に理会のおそかったことが、私一代の後悔でもあり、遺憾でもある。
斎藤さんの文学や、学問に理会のおそかったことが、私一代の後悔でもあり、遺憾でもある。
室町時代の末に出来たと思はれる職人歌合せの中、勧進聖訓職人歌合せといふのがあつて「絵解き」の姿...
室町時代の末に出来たと思はれる職人歌合せの中、勧進聖訓職人歌合せといふのがあつて「絵解き」の姿が画かれてゐる。
謡曲小町物の一で、卒都婆小町などゝ共に、小町の末路を伝へたものである。
謡曲小町物の一で、卒都婆小町などゝ共に、小町の末路を伝へたものである。
(一)語根日本品詞組織の考察は動詞の解体からのを便利とする。
(一)語根日本品詞組織の考察は動詞の解体からのを便利とする。
若い頃、よく衆生の恩など言ふ語を教はつたものだが、その用語例に包含させては、ちよつと冷淡過ぎる...
若い頃、よく衆生の恩など言ふ語を教はつたものだが、その用語例に包含させては、ちよつと冷淡過ぎる氣もする。
その写実主義が、意外に強靭であり、理論的に徹したところのあるものだといふことを、こんどの幸四郎...
その写実主義が、意外に強靭であり、理論的に徹したところのあるものだといふことを、こんどの幸四郎の舞台に見て、しみ/″\快く感じた。
大尽と末社我々は遊郭の生活は穢いものと思つてゐるが、江戸時代の小説・随筆等を読むと、江戸時代の...
大尽と末社我々は遊郭の生活は穢いものと思つてゐるが、江戸時代の小説・随筆等を読むと、江戸時代の町人は遊郭生活を尊敬してゐる。
その頃、目に故障を持つてゐた戸板君が、戦争に出ることになつた。
その頃、目に故障を持つてゐた戸板君が、戦争に出ることになつた。
短歌に口語をとり入れることは、随分久しい問題である。
短歌に口語をとり入れることは、随分久しい問題である。
寄席なんかに出入りするのは、あまりよい趣味ではない。
寄席なんかに出入りするのは、あまりよい趣味ではない。
日本青年館の長い履歴の間に、人は、その多くのよい成績をあげるであらう。
日本青年館の長い履歴の間に、人は、その多くのよい成績をあげるであらう。
文學を愛でゝめで痴れて、やがて一生を終へようとして居る一人の、追憶談に過ぎぬかも知れない。
文學を愛でゝめで痴れて、やがて一生を終へようとして居る一人の、追憶談に過ぎぬかも知れない。
私は、語部の職掌及び、其伝承した叙事詩の存在した事を、十数年以来主張して来た。
私は、語部の職掌及び、其伝承した叙事詩の存在した事を、十数年以来主張して来た。
むら/\と見えてたなびく顔見世の幟のほどを過ぎて来にけり昭和十年三月、私の作る所である。
むら/\と見えてたなびく顔見世の幟のほどを過ぎて来にけり昭和十年三月、私の作る所である。
今度計画せられた此書物は、類変りの随筆集といふだけに、識り合ひの方がたが、どんな計画で、思ひも...
今度計画せられた此書物は、類変りの随筆集といふだけに、識り合ひの方がたが、どんな計画で、思ひもかけぬ事を書かうとして居られるかといふ事が、かうして居る今でもまざ/\と胸に泛んで来る。
かう言ふ憎々しい物言ひをして、大變な勞作を積んで入らつしやる作家諸氏に失禮に當つたら、御免下さい。
かう言ふ憎々しい物言ひをして、大變な勞作を積んで入らつしやる作家諸氏に失禮に當つたら、御免下さい。
前代文明の残溜地東海道の奥から、信州伊那谷へ通じてゐる道が、大体三通りあります。
前代文明の残溜地東海道の奥から、信州伊那谷へ通じてゐる道が、大体三通りあります。
淡島様黙阿弥の脚本の「松竹梅湯島掛額」は八百屋お七をしくんだものであるが、其お七の言葉に、内裏...
淡島様黙阿弥の脚本の「松竹梅湯島掛額」は八百屋お七をしくんだものであるが、其お七の言葉に、内裏びなを羨んで、男を住吉様女を淡島様といふ条りが出てくる。
河内瓢箪山へ辻占問ひに往く人は、堤の下や稲むらの蔭に潜んで、道行く人の言ひ棄てる言草に籠る、百...
河内瓢箪山へ辻占問ひに往く人は、堤の下や稲むらの蔭に潜んで、道行く人の言ひ棄てる言草に籠る、百千の言霊を読まうとする。
夏祭浪花鑑の長町裏の場で、院本には「折から聞える太鼓鉦」とあるばかりなのを、芝居では、酸鼻な舅...
夏祭浪花鑑の長町裏の場で、院本には「折から聞える太鼓鉦」とあるばかりなのを、芝居では、酸鼻な舅殺しの最中に、背景の町屋の屋根の上を、幾つかの祭礼の立て物の末が列つて通る。
「桃・栗三年、柿八年、柚は九年の花盛り」といふ諺唄がある。
「桃・栗三年、柿八年、柚は九年の花盛り」といふ諺唄がある。
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