書き出し
[#ページの左右中央]初期詩篇[#改ページ]感動私はゆかう、夏の青き宵は麦穂臑((すね))刺す小径の上に、小草を蹈みに夢想家・私は私の足に、爽々しさのつたふを覚え、吹く風に思ふさま、私の頭をなぶらすだらう!私は語りも、考へもしまい、だが果てなき愛は心の裡(うち)に、浮びも来よう私は往かう、遠く遠くボヘミヤンのやう天地の間を、女と伴れだつやうに幸福に。
初出
1937年
(「ランボオ詩集」野田書房、1937(昭和12)年9月15日)
底本
「中原中也全訳詩集」講談社文芸文庫、講談社, 1990(平成2)年 9月10日