書き出し
白樺の梢に冬眠は引き裂くような雪肌を蒙古颪(おろし)に冷めたくとぎすましているどんよりな雪雲に包まれた部落彼方へずうと永く続き切っている地面房々と綿の実ったような雪ころ蹴ちらされた足跡がいとなけき者の生活をしのぶ様に……「おっ母よ」寒さに冷えきった体に飯の空っぽにすいた胃袋をたたきのめしながらまるで木乃伊のように滑走ったおっ母の乳下へかけずりよったつるし柿の様にしなびたおっ母の乳房か...
初出
1934年
(「詩精神」1934(昭和9)年11月号)
底本
「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」新日本出版社, 1987(昭和62)年6月30日