小川未明の全作品（6ページ目）

甲の百姓は、一ぴきの馬を持っていました。

太郎が叔母さんから、買ってもらった小刀は、それは、よく切れるのでした。

いいお天気でありました。

村に、おいなりさまの小さい社がありました。

あるところに、かわいそうな乞食の子がありました。

山へ雪がくるようになると、ひよどりが裏の高いかしの木に鳴くのであります。

南の方の海を、航海している船がありました。

金魚鉢にいれてあるすいれんが、かわいらしい黄色な花を開きました。

田舎の小学校の庭であったが、林から独り離れて校庭の中程に、あまり大きくない一本の杉の木が立っていました。

私は学校教育と云うものに就ては、現在の状況からすると小学校のそれに最も重きを置く。

学校から帰りの二少年が、話しながら、あまり人の通らない往来を歩いてきました。

ちょうど赤ちゃんが、目が見えるようになって、ものを見て笑ったときのように、小さな花が道ばたで咲きました。

あてもなくさ迷い歩くというが、やはり、真実を求めているのだ。

ある日のこと、義夫は、お母さんにつれられて町へいくと、露店が並んでいました。

吉雄は、学校の成績がよかったなら、親たちは、どんなにしても、中学校へ入れてやろうと思っていましたが、それは、あきらめなければなりませんでした。

絵のように美しいという言葉はあるが、いゝ絵は、見れば、見る程、ひきつけられるように感ずるものです。

毎日いっしょに勉強をしたり、また遊んだりしたお友だちと別れる日がきました。

星は、毎夜さびしい大空に輝いていました。

おそろしいがけの中ほどの岩かげに、とこなつの花がぱっちりと、かわいらしい瞳のように咲きはじめました。

おじいさんは、朝起きると、火鉢に当たりながら、もうそのころ配達されている新聞をごらんになっています。

風の出そうな空模様の日でありました。

そこは北のさびしい海岸でありました。

あるさびしい海岸に、二人の漁師が住んでいました。

さびしい野原の中に一本の木立がありました。

ある男が、牛に重い荷物を引かせて町へ出かけたのであります。

独り者の幸作は、家の中に話し相手もなくその日を暮らしていました。

一本のつばきの木の下に、かわいらしいすみれがありました。

金さんは、幼い時分から、親方に育てられて、両親を知りませんでした。

今も尚お、その境地から脱しないでいる私にあっては、『貧乏時代』と、言って、回顧する程のゆとりを心の上にも、また、実際の上にも持たないのでありますが、これまでに経験したことの中で、思い出さるゝ二三の場合について、記して見ます。

ある村へ、一人の乞食の子が入ってきた。

正ちゃんはまだふといバットをふれなかったので、きょねんはおうえんだんちょうになりました。

ある田舎の停車場へ汽車がとまりました。

あのときの、女の先生は、まだいらっしゃるだろうか。

年雄は、丘の上に立って、ぼんやりと考えていました。

垣根の内側に、小さな一本の草が芽を出しました。

空き地には、草がしげっていましたが、いまはもう黄色くなって、ちょうど柔らかな敷物のように地面に倒れていました。

山にすんでいるからすがありましたが、そのからすは、もうだいぶん年をとってしまいました。

北の方のある村に、仲のよくない兄弟がありました。

東京の町の中では、かいこをかう家はめったにありませんので、正ちゃんには、かいこがめずらしかったのです。

子どもは、つくえにむかって、勉強をしていました。

ある日、春子さんが、久代さんの家へ遊びにまいりますと、「ねえ、春子さん、きれいなものを見せてあげましょうか。

海の近くに一軒の家がありました。

ある田舎に、二郎という子供がありました。

何の時代からであるか、信濃の国の或る山中に、一つの湖水がある。

赤い花、白い花、赤としぼりの花、いろいろのつばきの花が、庭に咲いていました。

今年の夏休みに、正雄さんは、母さんや姉さんに連れられて、江の島の別荘へ避暑にまいりました。

籠の中で産まれた小鳥は、曾て広い世界を知らず、森の中や、林の中に、自分等の友達の住んでいることを知りませんから、外を恋しがらないかというに、そうでありません。

さよ子は、叔母さんからもらったおあしを大事に、赤い毛糸で編んだ財布の中に入れてしまっておきました。

もし、その作家が、真実であるならば、どんな小さなものでも、また、どんな力ないものでも、これを無視しようとは思わないでありましょう。

あるところに、母と少年とがさびしく暮らしていました。