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5分以内で読める三好達治の短編作品

青空文庫で公開されている三好達治の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編31作品を、おすすめ人気順に表示しています。

(〜2,000文字の作品を対象としています。読了時間は「400字/分」の読書スピードで計算した場合の目安です)
1〜31件 / 全31件
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友よ友よ四年も君に會はずにゐる……さうしてやつと君がこの世を去つたのだとこの頃私は納得したもはや私は悲しみもなく愕きもなく(それが少しもの足りない)君の手紙を讀みかへす――昔のレコードをかけてみる。
雪はふる雪はふる聲もなくふる雪は私の窗の半ばを埋める私の胸を波だてたそれらの希望はどこへ行つたか――また今宵それらの思出もとび去りゆく夜空のかぎり雪はふる雪はふる雪は思出のやうにふる雪は思出のやうにふるまた忘却のやうにもふる。
十一月の夜をこめて雪はふる雪はふる黄色なランプの灯の洩れる私の窗にたづね寄る雪の子供ら小さな手が玻璃戸を敲く玻璃戸を敲く敲くさうしてそこに息絶える私は聽く彼らの歌の靜謐靜謐靜謐。
雪どけの峽の小徑を行く行く照らしいだすわが手の燈火黄色なる火影のうちを疲れて歩むあはれわが脚の影重い靴濡れた帽子冷めたい耳空腹――旅人と身をなして思ふことさへうつつないああこのひととき。
ケシの花はマリー・ロランサンの絵を思はしめる。
この一隅に秋立つ日楓の幹を蟻が上る急げ急げ夕立がくる鳴神は隈取りをして灰色の兩手を擴げて――軒端を蜂が飛んでゐる。
なにがしの書物を持ちて君を訪ふ慣ひなりしを花をもて訪ふ垂乳根の君の母とし語へどこの秋の日に君はあらなくすずろかに鐘うち鳴らししまらくは君のみ靈に香をまつらむ病いゆと昔淋しき旅をせし山の小徑を夢に見しかなやうやくに岫(くき)をめぐりて海を見るこの街道に憩ふ巡禮蝶一つ二つ三ついま下りゆく溪間に見...
門を閉ぢよ心を開け……それで私は表を閉めて裏の垣根を越えてきた蜜柑畠の間を拔けて海よお前の渚にかうして私は一人できたああ陽炎のもえる初夏の小徑眩(めくる)めく砂の上で海よ私は何を考へよう思出のやうにうすぐもつて藍鼠色にぼんやりした遙かなお前の水平線私はお前に向きあつて私は世間に背中を向ける門を閉ぢよ心を開け……それで私は表を閉めて裏の垣根を越えてきた海...
微風晴れ雪の窓に葡萄酒を飮む。
扁舟を湖心に泛べ手艪を放ち箕坐してしばしもの思ふ――願くばかくてあれかしわが詩の境。
その顏が重くなる睡くなる鴨はそれを翼の下にしまひこむその上に雪がふる夢の國への小包。
夕暮の池に鴨が點々風が彼らを片寄せる林の方へ岡の方へ風がやむ彼らは呼んでゐる應へてゐる風の聲よりひそやかに。
人が詩人として生涯ををはるためには君のやうに聰明に清純に純潔に生きなければならなかつたさうして君のやうにまた早く死ななければ!。
ふつくらとした雪の面の疎林の影の美しさここに私は彳ちどまる聖なる正午この丘のほとりにあつて歩み去る時を感ずる旅人の年老いて疲れた心の沈默の憩ひ。
鷲が二羽降りようとして舞つてゐる巖のあらはな巓を私は仰ぎ私はたちどまるその山の肩のあたり林の盡きた笹原に私は籠手を翳し私は逡巡するさてまづ晝餉をしたためる。
どこかで鳥の聲がする雪の山の黄昏時私は一つの尾根に彳つ谿間の宿のランプの灯私の部屋の小さな窗窗に映つた帽子の影あはれあはれそれは思出のやうに見える微かな谿の水の聲。
かいつぶりかいつぶりそうれ頭に火がついた私たちの歌に應へてかいつぶりは水に沈むそれは旱魃の夏だつたただそれだけのことだつたかいつぶりかいつぶりかいつぶりのゐない日もあつた。
行くがいい既に門出の時である行け太陽のもと喧噪のさなかに行け風塵霜露の衢々に行つてお前の運命を試みるべき時である行け片意地な兜蟲か弱い仔雀跛この驢馬憐れなるわが詩の一卷。
夜更けて油の盡きた暗いランプ低い焔煤けた笠既に私の生涯も剩すところはもうわづかああ今しばしものを思はう今しばし私の仕事に精を出さうやがて睡りの時がくる悲しみもなく私の眠る時がくる。
拔足差足忍び寄つた野兎は蓆圍ひの隙間から野菜畑に跳びこんだとたんに係蹄に引かかる南無三とんぼがへりを二つ三つ力まかせに空を蹴る月を蹴る月は山の端に入いるやがて兎は寢てしまふ白菜たちが眼を醒す。
思出思出いつまでも心に住むと誓ひをたてた思出その思出も年をふれば塵となる煙となるああそのかの裏切りの片見なら捉へがたない思出の性も是非ない行くがいい行くがいい私を殘して歸る日もなく行くがいい思出よ。
二羽三羽霧のかかつた水際に黒い小鴨が游いでゐる私は林の小徑を出る――それとなし彼らはくるりと向きをかへるやがて一羽は空に揚る一羽は水の面を飛ぶ一羽はあとに殘される彼は周章てて水を打つ水を打つやつとからだが宙に浮く仲間と違つた方角へ。
山毛欅の林楢の林白樺の林ひと年私は山に住ひ彼らの春の粧ひと彼らの秋の凋落を見たけれども彼らの裸の姿雪の上のたたずまひこそわけても私の心にしみる何故だらうそのことわけを問ひながら今日もまた林に憩ふやうやく私のものとなつたこの手足この老年が珍らしく。
めじろめじろめじろ冬の端山を渡りくるめじろの群れのおしやべりは……それはまるで夏の日の日の暮れ方、とある街角をくる風鈴賣りの、あの毀れ易い硝子の器を百も吊るした、人の肩に擔はれてくる小さな輕い華やかな店さきの、音樂!その商品の一つ一つが互に囁きあつてゐる、ひそやかなれども騷がしい、いつも一つのものでありながら、けれども單調といふのでない、即興歌のより集り。
老いらくの身をはるばるとこのあしたわがふるさとゆははそはの母はきたまふおんくるまうまやにつかせたまふにはいとまありけりわれひとりなぎさにいでて冬の日のほのかほのかにあたたかき濱のおほなみひるがへる見つつたのしも眞鶴の崎の巖が根大島のはるけき烟見はるかしゐつつたのしもあはれよないつかその子も皺だたみ老いんとすらんまづしかる旅のすみかにははそはの母はおとな...
われながく憂ひに栖みてはやく身は老いんとすらんふたつなきいのちをかくて愚かにもうしなひつるよ秋の日の高きにたちてこしかたをおもへばかなしすぎし日の憂ひならねばあまからぬこの歎きかな見よ彼方日は眞晝藍ふかき海のはるかに眞白なる鴎どりはも一羽ゐてなに思ふらん波の穗にうかびただよふ願はくばわが老いらくの日もかかれ世の外にしてつたなかる心...
白根山寥落として草もなし煙たつ見ゆ白土尾根にほのかなる硫黄のかをり吹きかよへ芳が平の秋風のうち行き行きてかへるときなき心地すれ鳥さへ飛ばぬ白根山路草もなし木もなしされば路もなし湯鳴りさみしき白埴の山ここすぎて人かなしみの國にいる地獄の門ににたる山かなうかりける身に杖つきていまははやもの...
春の計畫粉雪の中で四十雀が啼いてゐる春が眞近にせまつてきた谿間で風が鳴つてゐる楢山毛欅櫟それらの枯葉が雪の上を走つてゐる山山よ裸の木木よ樂しい冬も間もなく冬も終るだらう懷かしい私の友垣風よ雲よ山山よ私達の友情のさて春の計畫を考へようその昔その昔その山のその旅籠へは米も野菜も新聞も煙草も手紙も電報も牛の背中で運んできた谿に臨んだ細路にのつと牝牛が顏を出す午後二時三時山で...
わが古きまづしきうたのたぐひここにとり集へてひと卷のふみをばなしつ、名づけて春の岬といふ、ふみのはじめに感をしるして序を添へよとは人の命ずるところなり、あな蛇足をしひたまふものかな、よしやつたなかるともわがうたのかずかずうちかへしわが感をのべたるものを、とてその夜わびしらに率然とおのれつぶやけるつぶやきわが若き十とせあまりのとしつきのいつしかにはやすぎゆきてあとこそなけれそこばくのうたはのこりつそのなかばいまここにあり...
山雀の嘴(はし)をたたきし板びさしはたやくだりし黄なる枯芝裸木の朴のこずゑはゆれてあれその青空をとぶ雲もなし鴉なく櫟ばやしのあらきみちけうとかりけり陽はてれれどもさねさし相模の山よ來る小鳥たかき空よりまひくだりけりはらはらと空よりくだる小鳥ありやがてかしこにしばなきにけりこの庭は鶲(ひたき)のとりの一羽きてあそぶ庭なりひるをひねもす宵ながら怠りてふすかり臥しの山の...
棋客の前田陳爾さんに近づきはないが、その囲碁批評はいつも面白く拝見してゐる。
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