青空文庫の全作品（32ページ目）

露のひぬ間九死に一生を得、殿軍の任を果して帰った将士が、京都に帰りついた第一夜の望みは、「とにかく寝たい！」それだけだった。

十一月四日は、たまたま函館にある北大の水産学部で、文化講義をする日になっていた。

――はっきり言ってごらん。

左の一編は十一月十一日、府下芝区三田慶應義塾に於（おい）て福澤先生の演説したるその大意の筆記なり。

いつかある大新聞社の工場を見学に行ってあの高速度輪転機の前面を瀑布のごとく流れ落ちる新聞紙の帯が、截断され折り畳まれ積み上げられて行く光景を見ていたとき、なるほどこれではジャーナリズムが世界に氾濫するのも当然だという気がしないではいられなかった。

十一月十五日栃木県氏家在狭間田に開かれたる聖書研究会に於て述べし講演の草稿。

小生もついに別荘の七ツ八ツ風光明媚なるところにブッたてようという遠大千万なコンタンによって「捕物帳」をかくことゝなり、小説新潮の案内で、箱根の谷のドン底の温泉旅館へ行った。

私はこの地方にいるものではありません、東京の方に平生住っております。

木靴「食えない者は、誰でもおれに尾いて来な。

季節にちなんで、お雑煮の話をしたいと思う。

ディズニイの『ピーター・パン』は、日本でもだいぶ好評だったらしいが、アメリカでも、たいへんな人気であった。

暮れに、私の家の近所を散歩してゐると、東京工業大學の門前でカミュの『誤解』上演と記されたお粗末な紙看板が目にとまつた。

クールラントの牧師カルル・アメンダ宛一八〇一年六月一日、ヴィーン親しい善きアメンダ、心からなる友よ。

［＃ページの左右中央］新島先生の記念としてこの冊子を献ぐ著者［＃改ページ］［＃ページの左右中央］Trust thyself : every heartvibrates to that iron string.――Emerson.［＃改ページ］緒言題して『吉田松陰』というも、その実は、松陰を中心と...

秋雨の降りしきる朝。

川の中に、魚がすんでいました。

ほんとうのことは、あの世で言え、という言葉がある。

東部カルパチア山地の森の中である。

浅野内匠頭七ツちがい春の生理をみなぎらした川筋の満潮が、石垣の蠣（かき）の一つ一つへ、ひたひたと接吻に似た音をひそめている。

私は應仁の亂に就て申上げることになつて居りますが、私がこんな事をお話するのは一體他流試合と申すもので、一寸も私の專門に關係のないことであります、が大分若い時に本を何といふことなしに無暗に讀んだ時分に、いろいろ此時代のものを讀んだ事がありますので、それを思ひ出して少しばかり申上げることに致しました。

戦前の形勢再度の長州征伐に失敗して、徳川幕府の無勢力が、完全に暴露された。

清夫は今日も、森の中のあき地にばらの実をとりに行きました。

第一章五年ほど前の三月、とある晴天の午後、グリニッジの古風な宿で、二人の男が出窓部屋に座り、目の前に置かれた大量の海図や地図を覗（のぞ）きこんでいた。

一社會人として、こゝに一文を草しなければかなはぬ義務を感じてゐる。

「扨（さ）て一人の男が浜で死んだ。

第１図野兎第２図熟兎第３図岩兎この一篇を綴（つづ）るに先だち断わり置くは単に兎と書いたのと熟兎と書いた物との区別である。

子供の頃「坊やん」と謂はれて居た小悧好な男があつた。

碁の手直り表菊地寛我々の倶楽部と云うものが、木挽町八丁目にある。

△△△地方裁判所の、刑事部の裁判長をしている、判事若杉浩三氏は若い時、かなり敬虔なクリスチャンでありました。

久保田万太郎君の「しるこ」のことを書いてゐるのを見、僕も亦（また）「しるこ」のことを書いて見たい欲望を感じた。

この集を過ぎ去りし頃の人々へおくる二月・冬日二月子供が泣いてゐると思つたのが、眼がさめると鶏の声なのであつた。

訳者のことば「ワンダ・ブック」A Wonder Book for Boys and Girls, 1852. は「少年少女のために」書かれたものではありますが、それがために調子をおろしてかかったようなものでないことは、作者ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne, 1804―1864. が、その「はしがき」で述べている通りです。

イーハトヴは一つの地名である。

独楽が流行っている時分だった。

東京は小石川に「もみぢ」という旅館がある。

子供らは古い時計のかかった茶の間に集まって、そこにある柱のそばへ各自の背丈を比べに行った。

上日清戦争が始まった。

ある村に、脊の高い、大きな女がありました。

十二月になると一日一日に時を刻む音が聞えるようである。

ここに一枚のスケッチがある。

「先達ては老生の面倒なる御願に対し早速御調査詳細の御回答下され難有存候。

［＃ページの左右中央］秋の巻［＃改ページ］［＃改ページ］○天長節夜会食卓の真景（口絵参照）巻頭の口絵は明治三十六年十一月三日帝国ホテルに開かれし天長節夜会の食卓を写せしなり。

山椒魚は手に入れるのが困難だが、反対にいくらでも手に入るもので、しかも、滅多に人の食わないもの、それでいて、相当の珍味を有するものと言えば、日本の蝦蟇（ひきがえる）だろう。

私はこの学校は初めてで――エー来るのは始めてだけれどもご依頼を受けたのは、決して、初めてではありません。

武名競べ血飛沫鹿の子生田の馬場の競べ馬も終ったと見えて、群集の藺笠（いがさ）や市女笠などが、流れにまかす花かのように、暮れかかる夕霞の道を、城下の方へなだれて帰った。

私と彼とは切っても切れない縁故があるのだが、逢うことはそう屡々ではない。

僕の書生時代の話しだから、随分古いことだ。

吉兆吉運それから四、五十日の日が過ぎた。

面まだ葉ざくらは初々しい。

先日、三田の、小さい学生さんが二人、私の家に参りました。